店舗ビジネス向け“職種別”就業規則の改正ポイント|飲食・小売・宿泊・サービスを実務で整理
〜シフト業態が直面する「深夜またぎ・連続勤務・休息不足」を、業態別に整理する実務ガイド〜
2026年に向けて進められている労働基準関係法制の見直しは、飲食・小売・宿泊・サービスといった店舗ビジネスに特に大きな影響を与えます。これらの業態は、シフト制、深夜営業、早番・遅番、土日稼働、副業者の多さ、店長裁量の広さなど、労働時間が流動的になりやすい構造を持っています。
そのため、制度の理解だけでなく「就業規則をどう書くか」によって、現場運用の安定度が大きく変わります。同じ労基法でも、飲食と小売、宿泊とサービスでは注意点が異なり、共通ルールだけでは対応しきれない場面が多く存在します。
たとえば、飲食店では深夜の片付け時間が労働時間として整理されていないケースが多く、小売業では早番・遅番の切り替えによる休息不足が生じやすい傾向があります。宿泊業やサービス業では、24時間営業や夜勤に伴う休息の取り扱いが問題になりやすくなります。
本記事では、人事×社労士の視点から、店舗ビジネスを業態別に分け、それぞれの就業規則で整理しておきたい改正ポイントを実務目線で解説します。規則の書き方を整えることで、法令対応と現場運営の両立がしやすくなります。
飲食店向けに整理しておきたい改正ポイント
● 深夜またぎの管理
飲食店で特にトラブルになりやすいのが、深夜帯の実績時間の整理です。ラストオーダー後の片付け、清掃、締め作業などが労働時間として扱われていないと、休息時間が不足しやすくなります。
就業規則では、深夜勤務に付随する作業も労働時間に含め、終業時刻を実績ベースで記録する旨を明確にしておくことが有効です。これにより、深夜またぎによる時間管理のズレを防ぎやすくなります。
● シフトの固定化
日替わりで勤務帯が変わる運用は、休息不足や連続勤務を招きやすくなります。飲食店では、早番・遅番の勤務帯を原則固定し、変更時のルールを就業規則で整理しておくことで、店長判断のばらつきを抑えられます。
● 店長の休日の明確化
店長や責任者の休日が曖昧になると、法定休日の特定が不十分になりやすくなります。管理職であっても休日を明示し、シフト表上で確認できる形にしておくことが重要です。
小売業向けの改正ポイント
● 早番・遅番の整理
小売業では、開店準備や閉店後作業が明確に存在するため、勤務帯の整理が欠かせません。早番・遅番の業務内容と時間帯を就業規則に記載し、開始・終了時刻は実績に基づくことを明確にしておくと、休息不足の防止につながります。
● 週40時間制を前提とした整理
複数日勤務が続きやすい小売業では、週単位での労働時間管理が重要になります。所定労働時間の考え方を就業規則で整理し、勤務時間の組み方を明確にしておくことで、現場での誤解を減らすことができます。
● 休息不足を防ぐ運用
遅番の翌日に早番を割り当てる運用は、休息不足を招きやすくなります。勤務間の間隔を意識したシフト調整について、就業規則や運用ルールで整理しておくことが実務上のポイントです。
宿泊・サービス業の改正ポイント
● 24時間営業に伴う課題
宿泊業やサービス業では、24時間体制の勤務が前提となる場合があります。この場合、夜勤や交代勤務に伴う休息の整理が重要になります。
● 仮眠・休息の扱い
仮眠時間が実態として業務から完全に解放されていない場合、労働時間との関係が問題になりやすくなります。仮眠や休息の位置づけについては、実態に即した形で就業規則に整理しておく必要があります。
● 夜勤から日勤への切り替え
夜勤明けにそのまま日勤を行う運用は、健康管理や安全配慮の観点からリスクが高くなります。勤務の切り替えに関するルールを明示し、無理のない勤務計画を立てられるようにしておくことが重要です。
まとめ
店舗ビジネスは、2026年に向けた法改正の影響を特に受けやすい分野です。業態ごとの特性を踏まえずに共通ルールだけで運用すると、現場での混乱が生じやすくなります。
- 飲食業では深夜作業や店長の休日整理が重要
- 小売業では勤務帯と週単位の労働時間整理がポイント
- 宿泊・サービス業では夜勤や仮眠の扱いが鍵になる
就業規則、勤怠設定、シフト運用を一体で見直すことで、法令対応と現場運営のバランスが取りやすくなります。業態別に整理された規則は、現場判断のブレを抑え、労務リスクの低減につながります。
【参考情報】
・厚生労働省 公表資料(2025年時点)
・労働基準関係法制研究会 資料(2025年時点)
・労働局 各種通達・解説資料
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