休日振替・代休の正しい使い分け|2026年に向けた実務トラブルを防ぐ完全整理ガイド

〜「休日の事前特定」が重視される時代に、混同しやすい“振替”と“代休”の境界線を整理する〜


2026年に向けて進められている労基法関連の見直しでは、労働時間だけでなく「休日の管理方法」が、これまで以上に重要な確認ポイントになります。
その中でも、現場で特に誤解が多く、トラブルにつながりやすいのが「休日振替」と「代休」の扱いです。

「日曜に出たから、明日を代休にすれば問題ないですよね」「今週の休みを来週にずらしただけなので大丈夫なはず」「休みは取らせているから割増はいらないですよね」といった会話は、飲食・小売・宿泊業などのシフト制現場だけでなく、本社管理部門や多拠点展開企業でも日常的に見られます。

しかし、これらの理解の多くは、制度上の整理が不十分なまま運用されているケースです。休日振替と代休は、見た目は似ていても、法定休日か所定休日か、事前に決めているか事後か、割増賃金が発生するかといった点で、まったく異なる整理が求められます。

曖昧なまま運用を続けると、法定休日の割増賃金未払い、連続勤務の発生、深夜またぎによる休日消失、労基署からの是正指導といったリスクが一気に表面化します。2026年に向けては「法定休日の事前特定」を前提とした整理が進められており、これまで成立していた休日の動かし方が通用しにくくなります。

本記事では、人事×社労士の視点から、休日振替と代休の違いを法的な考え方にもとづいて整理し、飲食・小売・本社管理部門など現場ごとの判断で迷わないための実務ポイントを解説します。


休日振替と代休の違い(法的な考え方)


● 休日振替=法定休日を事前に移動させる仕組み

休日振替とは、本来の法定休日を、あらかじめ別の日に移動させる制度を指します。たとえば「日曜日を法定休日としているが、今週は水曜日を法定休日として扱う」といったケースです。

この場合、日曜日に出勤しても、休日そのものが水曜日に移動しているため、休日労働には該当しません。ポイントは、事前に休日を移動させる意思が明確になっていることです。

当日の朝や勤務中に口頭で伝える運用では、休日振替として整理できない可能性が高く、シフト制の飲食・小売現場では特に注意が必要です。

● 代休=休日労働に対する後付けの休息

代休は、法定休日に出勤した事実を前提に、その埋め合わせとして後日休みを与える仕組みです。休日そのものが移動するわけではなく、あくまで労働後の休息として位置づけられます。

そのため、法定休日に働いた時点で、休日労働としての割増賃金が発生します。代休を与えた場合でも、割増賃金の考え方自体は変わりません。

● 割増賃金の発生有無の整理

  • 休日振替:事前に法定休日を移動しているため、割増賃金は発生しない整理になる
  • 代休:休日労働が成立しているため、割増賃金の支払いが前提となる

休日振替は「休日そのものの移動」、代休は「労働後の休息」という違いを押さえておくことが重要です。


間違いやすいケーススタディ


● シフト制での休日振替の勘違い

飲食・小売・宿泊業などのシフト制現場では、「シフトを変えたから振替になっている」と理解されることがありますが、シフト変更だけでは休日振替として整理できません。

シフト確定時点で法定休日をどの日にするかを特定し、移動させる場合は事前に休日振替として整理しておく必要があります。後から調整した休みは、代休として扱われるケースが一般的です。

● 深夜またぎ勤務による休日消失

22時から翌朝まで続く深夜勤務では、勤務終了時刻が属する日が労働日として扱われます。たとえば土曜22時から日曜6時まで勤務した場合、日曜勤務として整理され、日曜が法定休日であれば休日労働になります。

「日曜日はシフトを入れていないから休日になる」という認識が通用せず、連続勤務や休日未付与につながるケースも少なくありません。

● 副業者の休日管理

本業と副業を行う従業員の場合、副業先での勤務状況も含めて休日や連続勤務を整理する必要があります。副業先で日曜勤務、本業で月曜勤務という場合、実質的には連続勤務として扱われます。

企業側には安全配慮義務の観点から、休日状況の把握や整理が求められるため、休日振替や代休の考え方も副業者を含めて検討することが重要です。


2026年に向けた適正な運用整理の考え方


● 事前特定を前提にした整理

今後は、法定休日をシフト作成時点で特定し、移動させる場合は事前に休日振替として整理する運用が重要になります。後から休みを与える場合は、代休として扱うという整理を徹底することで、現場の混乱を減らすことができます。

● 管理職の休日の扱い

店長やマネージャーであっても、労基法上の管理監督者に該当しないケースは多く、法定休日や割増賃金の考え方は一般社員と同様に整理されます。管理職の休日を曖昧にすると、労務リスクが高まりやすくなります。

● 就業規則で整理しておきたいポイント

  • 法定休日の位置づけ
  • 所定休日との違い
  • 休日振替の手続きと事前性
  • 代休の付与条件
  • 深夜またぎ時の休日判定
  • 副業者を含めた休日管理ルール

これらを明文化しておくことで、現場・管理職・本部の解釈のズレを抑えることができます。


まとめ


休日振替と代休は、似ているようで制度上の意味は大きく異なります。振替は事前に休日を移動させる整理、代休は休日労働後の休息としての整理です。

  • 振替は事前、代休は事後という考え方
  • 割増賃金の扱いが異なる
  • 深夜またぎやシフト制では休日判定がズレやすい
  • 副業者の休日管理は連続勤務の判断に影響する

2026年に向けて、休日の事前特定を前提とした運用整理を行うことで、休日関連のトラブルは大きく減らすことができます。制度、シフト、就業規則を一体で整理し、現場が迷わない休日管理を整えていきましょう。

【参考情報】
・厚生労働省 公表資料(2025年時点)
・労働基準関係法制研究会 資料(2025年時点)
・労働局 各種通達・解説資料


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※本記事は公開時点の情報にもとづいて作成しています。今後の制度変更や運用の見直しにより、内容が変わる可能性があります。

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