勤務間インターバル制度と“深夜またぎ勤務”の正しい取り扱い|2026年版
〜深夜帯のシフトが引き起こす「インターバル未達」を、現場実務の視点で整理する〜
2026年以降を見据えた労働基準法改正の議論の中で、現場に最も影響が出やすいテーマの一つが 「勤務間インターバル」と深夜またぎ勤務の扱いです。
とくに飲食・小売・宿泊・物流など、深夜帯の業務が日常的に発生する業態では、 「どこで勤務が終わったのか」「翌日の始業は問題ないのか」という判断が曖昧になりがちです。
現場では、次のような声が少なくありません。
- 深夜またぎは前日の勤務として扱っている
- 片付けや締め作業は勤務時間に入れていない
- 終業時刻はシフト表ベースで見ている
- 翌日の早番は慣例で組んでいる
しかし、労働基準関係法制研究会の報告書や今後の改正議論を踏まえると、 こうした運用はインターバル未達・長時間労働・安全配慮義務の観点で 問題になる可能性が高い整理です。
本記事では、深夜またぎ勤務がなぜインターバル計算を狂わせやすいのかを起点に、 2026〜2027年を見据えた正しい考え方と、現場で事故を起こさないための運用整理を行います。
深夜またぎ勤務でインターバル計算が狂いやすい理由
● 勤務終了時刻の確定が曖昧になりやすい
深夜帯の勤務で最も問題になるのは、終業時刻が実態として確定しにくい点です。
例えば、シフト上は「23時退勤」とされていても、実際には次のような業務が発生します。
- レジ締め・売上確認
- 片付け・清掃
- 施錠・最終確認
結果として、実際の終業が0時や1時になるケースは珍しくありません。 この「実態としての終業時刻」を把握しないまま翌日の始業を組むと、 勤務間インターバルが想定より短くなります。
● 深夜帯の作業量とサービス残業化
深夜帯は業務量が減るどころか、むしろ締め作業や後処理が集中する時間帯です。
それにもかかわらず、「数分だから」「片付けだから」と打刻されないケースが続くと、 実態としては労働しているにもかかわらず、勤務時間として把握されません。
この状態が続くと、次の問題が同時に発生します。
- 実労働時間の過少把握
- 深夜労働・残業時間の見落とし
- 勤務間インターバルの誤認
2026年以降の議論では、「形式ではなく実態」を基準に判断する方向性が強まっています。 深夜帯のサービス残業は、インターバル制度との相性が極めて悪い点に注意が必要です。
● 締め作業・片付けは労働時間か
結論から言えば、締め作業・片付けは労働時間として扱われます。
業務として義務付けられている以上、「営業が終わった後だから労働ではない」 という整理は成り立ちません。
終業時刻をどこで切るかを曖昧にすると、 インターバル未達・残業管理・割増賃金のすべてに影響します。
インターバル計算の正しい考え方
● 終了時刻から開始時刻までを実績ベースで見る
勤務間インターバルの考え方はシンプルです。
前日の「実態としての終業」から、翌日の「実態としての始業」まで この時間が何時間空いているかで判断します。
シフト表や予定ではなく、実際に働いた時間を基準に考える必要があります。
● 拘束されている時間は労働時間として整理する
深夜帯では「待機」「施錠待ち」「責任者として残る」といった拘束が発生しがちです。
指示・業務上の必要性によって拘束されている場合、 その時間は労働時間として整理される可能性が高くなります。
この整理を誤ると、インターバルだけでなく 時間外・深夜割増の判断にも影響が出ます。
● インターバル短縮は例外的な扱いに留まる
研究会報告書等では、インターバル確保を原則としつつ、 例外的に短縮を認める方向性も示されています。
ただし、短縮は常態化を前提とした制度ではなく、 記録・代替休息・合理的理由が求められる整理です。
深夜またぎ勤務を前提にした運用改善策
● 遅番担当の固定化
深夜帯の混乱を減らす最も効果的な方法は、 遅番担当者を固定することです。
終業時刻の見込みが立ちやすくなり、 インターバル管理・翌日のシフト設計が安定します。
● 片付け時間を業務として明文化する
片付け・締め作業を「想定業務」として時間設定し、 その時間までを勤務として扱う整理が必要です。
これにより、終業時刻のズレやサービス残業を防ぎやすくなります。
● 終業時刻の記録を厳格にする
深夜帯こそ、終業時刻の打刻ルールを明確にする必要があります。
誰が、どのタイミングで、何をもって終業とするのか。 この基準を決めておくことで、インターバル管理の精度が大きく変わります。
まとめ
深夜またぎ勤務は、勤務間インターバルを最も崩しやすい勤務形態です。
終業時刻の曖昧さ、片付け作業の未整理、慣例的な早番設定が重なると、 知らないうちにリスクを積み上げてしまいます。
2026年以降は、形式ではなく実態に即したシフト管理が より強く求められる流れになります。
今の運用が「誤解の上に成り立っていないか」、 ぜひ一度、点検してみてください。
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