副業申告制度はどう変わる?2026年の企業側の義務とチェックポイント
〜「自己申告で十分」は通用しない時代へ。企業が整備すべきルールを完全整理〜
副業・兼業が一般化し、働き方が多様化する一方で、企業側のリスクは年々高まっています。特に2026年を見据えた制度見直しの流れの中で、「副業者の労働時間管理」は、企業にとって避けて通れないテーマになりつつあります。
これまで多くの企業では、副業者の勤務状況について「本人の自己申告」を前提に運用してきました。
しかしこの方法では、実態と乖離が生じやすく、結果として企業側のリスクが見えにくい状態になりがちです。
副業申告制度は、単なる届出制度ではありません。労働時間管理・安全配慮・割増賃金計算と密接に結びつく「実務の基盤」として再設計する必要があります。
2026年の改正で何が変わるのか
● 自己申告ベースの限界
従来の副業申告は、「副業をしているかどうか」「おおよその勤務時間」といった、非常に抽象的な情報に依存していました。
しかしこの運用では、深夜勤務や連続勤務、実際の労働時間の偏りを把握することが困難です。
結果として、企業が把握しないまま長時間労働が進行し、インターバル不足や連勤が発生するケースも少なくありません。
自己申告だけに依存する運用は、制度的にも実務的にも限界を迎えています。
● 企業側の「確認ルート」整備が重要に
2026年を見据えた流れの中では、企業が「副業の実態を確認する仕組み」を持っているかどうかが重視されます。重要なのは、高度なシステム導入ではなく、運用可能な確認ルートを整備しているかどうかです。
- 副業申告書の提出ルール
- 更新頻度の明確化
- 深夜勤務・休日位置の確認
- 連続勤務の有無の把握
これらが社内ルールとして整理され、実際に運用されていることが重要になります。
● 割増賃金計算に必要な情報
副業者がいる場合、企業は割増賃金計算に必要な前提情報を把握しておく必要があります。
特に重要なのは、労働時間の通算管理と深夜帯勤務の有無です。
- 本業・副業それぞれの勤務時間帯
- 週・月単位の総労働時間
- 深夜勤務の有無
- 連続勤務日数
これらの情報が欠けた状態では、正確な判断ができず、結果として割増賃金の計算誤りや是正指導につながるリスクがあります。
申告制度の設計ポイント
● 申告書の項目例
副業申告書は、形式的なチェックリストではなく、実務に耐える内容にする必要があります。
- 副業先の名称・業種
- 勤務日数・時間帯
- 深夜勤務の有無
- 月間の概算労働時間
- 休日の位置
- 体調不良や過労の有無
これらを網羅することで、企業は副業者の働き方を「見える化」できます。
● 提出頻度(推奨:月1回)
副業の勤務状況は月ごとに変動するため、申告は定期的に更新する必要があります。特に月末や繁忙期をまたぐ場合、労働時間や休日のズレが発生しやすくなります。
月1回の更新をルール化することで、企業側はリスクを早期に把握し、必要な調整を行いやすくなります。
● 虚偽申告への対応
虚偽申告が発覚した場合の対応も、事前に制度として整理しておくことが重要です。就業規則上の位置づけや、指導・面談の流れを明確にしておくことで、過重労働の放置を防ぐことにつながります。
申告制度と就業規則の連動
● 副業届の記載ルール
就業規則には、副業を行う際の届出義務、記載事項、変更時の再申告ルールなどを明確に記載する必要があります。曖昧な表現のままでは、実務運用が形骸化しやすくなります。
● 労働時間通算の社内ルール
副業時間は通算して管理することを前提に、時間外判定や深夜勤務への対応方針を社内ルールとして整理しておくことが重要です。これにより、判断基準が属人化するのを防げます。
● トラブル発生時の対応
体調不良や事故が発生した場合の対応フローも、事前に定めておく必要があります。記録を残し、どのような対応を行ったかを説明できる状態にしておくことが、企業防衛につながります。
まとめ
副業申告制度は、単なる形式的な届出制度ではなく、企業の安全配慮義務と直結する重要な仕組みです。2026年を見据えると、「自己申告だけで足りる」という考え方は通用しなくなりつつあります。
申告制度の整備、就業規則との連動、定期的な確認運用を通じて、副業者の働き方を適切に把握することが、事故やトラブルを未然に防ぐ最大のポイントになります。
副業が当たり前になった時代だからこそ、企業側も「見える化」と「仕組み化」を進め、安定した労務管理を実現していくことが求められます。
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