2026年の改正対応を“最小コスト”で乗り切る方法|中小企業向け節約型ロードマップ
〜勤怠・就業規則・シフトを全部変える前に。費用を抑えつつ実務を回すための考え方〜
2026年に向けて検討が進んでいる労働基準法関連の見直しは、中小企業にとって「対応コストが読みにくい」「何から手を付ければよいのか分からない」と感じやすいテーマです。
勤務間インターバル、連続勤務の考え方、週の労働時間、休日の整理など、複数の論点が同時に絡むため、すべてを一気に整えようとすると、かえって負担が大きくなりがちです。
一方、厚生労働省や労働局が示している資料を整理すると、現時点で求められているのは「高額なシステム導入」や「就業規則の全面改訂」ではなく、現行制度の中で無理が出やすい部分を把握し、運用を整理することに重きが置かれていることが分かります。
この記事では、2026年の改正動向を踏まえながら、中小企業がコストをかけすぎず、現実的に対応を進めるためのロードマップを、勤怠システム・就業規則・シフト設計・経営判断の4つの視点で整理します。
勤怠システム改修のコストを最小にする考え方
改正対応というと「勤怠システムを全面的に入れ替えなければならない」と考えがちですが、厚労省資料を見る限り、現時点では必要最低限の確認ができる仕組みを整えることが重視されています。
● インターバル設定機能の考え方
勤務間インターバルを考えるうえで重要なのは、次の3点が確認できるかどうかです。
前日の終業時刻、翌日の始業時刻、その間の時間数。
11時間未満になりそうな場合に、気づける仕組みがあれば、必ずしも高機能なシステムは必要ありません。
● アラート機能を中心に考える
実務上は、「問題が起きたあとに集計する」よりも、「事前に気づける」ことの方が重要です。
インターバル不足、週40時間を超えそうな勤務、連続勤務が長くなりそうなケースなど、注意喚起を出せる機能を優先的に活用することで、運用負荷を抑えやすくなります。
● 手計算を避けたいライン
店長や管理職の判断だけに任せるとミスが起きやすいのが、インターバル時間、週の総労働時間、連続勤務日数です。
これらについては、システムやチェック表で補助する前提にすると、無理な人力対応を避けやすくなります。
就業規則の変更コストを抑える視点
就業規則についても、「全面改訂が必要」と考える必要はありません。実際には、改正動向に関連する部分を追記・整理する形で対応している企業も多く見られます。
● “加除方式”で整理できる項目
勤務間インターバル、休日の考え方、副業・兼業の申告方法などは、既存条文を活かしつつ補足する形で整理が可能です。
この方法を取ることで、修正範囲を限定しやすくなります。
● 休日特定ルールのひな型を作る
法定休日の扱いについては、「前月の時点で休日の位置を示す」という運用ルールを文書化しておくことで、現場判断のブレを減らしやすくなります。
毎回ゼロから考えるのではなく、共通ひな型を持つことがポイントです。
● 副業届のテンプレ共通化
副業・兼業への対応では、勤務先や時間帯を把握できる簡易な届出書を用意しておくだけでも、実務負担は大きく下がります。
複雑な書式にせず、更新しやすい形にしておくことが現実的です。
人件費を増やさずにシフトを組むための工夫
改正対応の影響が最も出やすいのがシフト設計です。
ここでは「人を増やす」前に見直せるポイントを整理します。
● 早番・遅番の固定化
日替わりで早番・遅番を回す運用は、インターバルの観点から無理が出やすくなります。
時間帯ごとに担当を固定することで、調整コストを下げやすくなります。
● 1日7.5時間など所定時間の調整
所定労働時間をわずかに短く設計することで、週40時間を超えにくくなり、時間外管理の負担を軽減できるケースもあります。
業態に応じて現実的なラインを検討することが重要です。
● ピーク帯と非ピーク帯の切り分け
来客が集中する時間帯と、そうでない時間帯を分けて考えることで、必要以上の配置を避けやすくなります。
結果として、人件費と運用リスクの両方を抑えやすくなります。
経営インパクトを抑えるための戦略的整理
制度対応を単なるコスト増と捉えず、経営判断につなげる視点も重要です。
● 採用計画の見直し
フルタイム一択ではなく、時間帯別・役割別に採用を考えることで、無理のない配置が可能になります。
● 休暇取得ルールの整理
休日を後から調整する運用ではなく、先に確保する考え方へ切り替えることで、現場の混乱を抑えやすくなります。
● 変形労働時間制の再検討
業務の波がある企業では、変形労働時間制を見直すことで、結果的にコストとリスクのバランスが取りやすくなる場合もあります。
まとめ
2026年を見据えた労務管理の見直しは、一気に整える必要はなく、優先順位をつけて進めることが現実的です。
勤怠システム、就業規則、シフト設計はそれぞれ独立した話ではなく、相互に影響します。
だからこそ、コストをかける部分とかけない部分を見極めることで、負担を抑えながら運用を安定させることが可能になります。
2026年を「大変な年」と捉えるか、「無理のある運用を整理する年」と捉えるかで、その後の経営のしやすさは変わってきます。
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