飲食・小売で増える労務トラブル5選と2026年対応|店長・経営者のための実務ガイド
〜「気づいたらアウト」を防ぐための、現場目線のリスク整理と運用モデル〜
2026年を見据えた労務管理の見直しは、飲食・小売業にとって避けて通れないテーマになりつつあります。とくに注目されているのが、勤務間インターバル、連続勤務の考え方、法定休日の事前特定、副業時間の通算管理といった「日々のシフト運用」に直結する論点です。
厚生労働省の資料や検討会で繰り返し示されているのは、「制度そのものよりも、現場運用がトラブルを生む」という点です。
飲食・小売の現場では、すでに次のような不安の声が多く聞かれます。
- インターバル11時間は、気づいたら守れていなさそう
- 14連勤は月末と月初をまたぐと普通に起こる
- 休日を事前に決めると言われても、実務でどうやるのか分からない
- 副業の時間まで会社が管理する必要があるのか不安
- 週40時間の計算がシフト混在で複雑すぎる
2026年以降に問題化しやすいのは、悪意のある違反ではなく、「善意の調整」です。だからこそ、店長・経営者の側が「どこで判断を誤りやすいのか」を事前に把握しておくことが重要になります。
2026年を見据えて増えると考えられる労務トラブル
まずは、今後とくに注意が必要とされている代表的なトラブルを5つに整理します。
● 勤務間インターバル不足
典型的なのは、遅番(22〜23時退勤)から翌日早番(7〜9時出勤)へつながるケースや、閉店作業・棚卸しが長引き、実際の退勤が深夜になるケースです。シフト表上では成立しているように見えても、実労働ベースでは11時間以上空いていないというパターンが最も多い違反候補になります。
● 連続勤務のカウントミス
突発欠勤の穴埋めや応援出勤、月末〜月初をまたぐシフト構成が重なることで、「気づいたら14日連続勤務」になっているケースが発生しやすくなります。意図せず違反状態に近づく点が、現場での最大のリスクです。
● 法定休日の位置が曖昧
「週に1日は休ませている」という感覚的な運用は、今後は通用しにくくなります。法定休日を事前に特定しているか、シフト確定時点で視覚的に確認できるかが重要な判断ポイントになります。
● 副業時間の未申告・未把握
副業・ダブルワークが当たり前になったことで、本業の勤務時間だけを見ている管理は危険になっています。副業時間を含めた通算管理が前提となるため、申告させる仕組みがないこと自体がリスクとして見られやすくなります。
● 週40時間超の誤計算
正社員・フリーター・短時間パートが混在すると、週40時間の管理は一気に複雑になります。とくに「変形労働時間制だから大丈夫」という誤解は注意が必要です。
飲食業で起こりやすい典型トラブル
飲食業は、深夜・長時間・属人的調整が重なりやすい業態です。
● 閉店作業の長時間化
ラストオーダー後の片付けや清掃、締め作業が長引き、予定より1〜2時間退勤がズレることは珍しくありません。その結果、インターバルが実態として不足するケースが多発します。
● 遅番→早番による休息不足
前日22〜23時退勤、翌日7〜8時仕込みという「飲食あるある」は、2026年以降は高リスク運用になります。
● 副業バイトとの衝突
飲食業は副業人材が多く、本人も総労働時間を正確に把握していないことがあります。その結果、割増未払い・過重労働に発展するリスクが高まります。
小売業で起こりやすい典型トラブル
● 棚卸しによるインターバル崩壊
棚卸しは深夜〜早朝に行われることが多く、翌日の通常勤務と重なることで一気にリスクが高まります。
● 早朝品出しと前日の遅番
開店前品出しと遅番が重なると、インターバル違反の温床になります。
● 店長の長時間労働
店長は開店前・閉店後・日中の穴埋め対応をすべて担いがちです。管理職であっても、実態としての過重労働は見過ごされにくくなります。
トラブルを防ぐために必要な運用整理
● 法定休日の事前特定
「どこかで休む」ではなく、「この日が休日」と事前に明示する運用が必要です。
● シフト確定の前倒し
前月20日頃までに確定することで、連勤・休日・副業調整がしやすくなります。
● 勤怠アラートの活用
- インターバル不足
- 連勤13日超
- 週40時間超
これらは人の注意ではなく、仕組みで止めることが重要です。
● 副業申告制度の整備
曜日・時間帯の目安を申告してもらい、通算管理を前提にシフトを組みます。
● 深夜作業の担当設計
翌朝入らない人員を中心に配置するだけで、リスクは大きく下がります。
最後に行うべきリスク診断チェック
- 遅番→早番が残っていないか
- 13日超連勤の可能性がないか
- 法定休日を後決めしていないか
- 副業時間を誰も把握していない状態ではないか
- 週40時間を曖昧に処理していないか
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