副業×割増賃金はどう変わる?労働時間は通算、割増は別計算へ【2026年労基法の最新整理】

〜「通算=全部割増」ではない。メイン・サブ別計算へ進む背景と実務対応〜


「副業すると、割増賃金は全部合算して払う必要がある?」

「どの会社が割増を負担するのか、正直よく分からない」

「2026年改正で何がどう変わるのか、情報が錯綜している」

副業・兼業が一般化する中で、割増賃金の扱いは人事・労務の現場で最も混乱しやすいテーマの一つです。
特にここ数年、「労働時間は通算するが、割増賃金はどう扱うのか」という点について、制度の整理が大きく進んでいます。

結論から整理すると、現在の方向性は次のとおりです。

  • 労働時間の通算:健康確保の観点から、引き続き通算が前提
  • 割増賃金の計算:メイン・サブそれぞれで計算する整理が進んでいます
  • 現行実務:サブ(副業先)が割増賃金を負担する整理

「通算=全部まとめて割増」ではなく、通算と割増を切り分けて考えるのが最新の理解です。
本記事では、2026年労基法改正を踏まえた最新の制度整理と実務の考え方を、具体例付きで解説します。


副業における労働時間と割増賃金の基本整理


● 労働時間は今後も「通算」が前提

副業・兼業においても、労働時間そのものは通算する考え方が基本です。
これは、過重労働を防ぎ、労働者の健康を確保するための枠組みとして維持される方向で整理されています。

たとえば、

  • 本業:週40時間
  • 副業:週10時間

この場合、総労働時間は週50時間となり、
長時間労働・勤務間インターバル・安全配慮の観点では通算50時間として扱われます。

● 割増賃金は「通算しない」方向で整理

一方で、割増賃金の計算については考え方が分かれます。
現時点の労基法改正の最新整理では、

「労働時間は通算するが、割増賃金は各事業所ごとに計算する」

という方向で整理が進んでいます。

背景には、次のような事情があります。

  • 他社の労働時間を前提に割増計算をするのは実務負担が大きい
  • 割増賃金は業務命令との関係で整理すべきという考え方
  • 副業受入れを萎縮させないための制度設計

その結果、割増賃金は「メイン・サブそれぞれで判断」する考え方が軸になっています。


現行制度における割増賃金の考え方(重要)


● 現行は「サブ(副業先)」が割増を負担

現時点の実務整理では、副業先(サブ)で割増賃金を支払う扱いが基本です。
本業が法定労働時間内である限り、本業側に割増義務は生じません。

具体例で整理します。

  • 本業:週40時間(法定内)
  • 副業:週5時間

総労働時間は45時間ですが、
割増賃金の支払い義務は副業先のみで発生します。
本業側は「副業時間を含めた健康管理」は行いますが、割増賃金は支払いません。

● 深夜・休日も「勤務先ごと」に判断

深夜労働(22時〜翌5時)や休日労働についても、
実際に勤務した事業所ごとに割増を判断します。

たとえば、

  • 本業:日中勤務のみ(深夜なし)
  • 副業:22時〜25時の深夜勤務

この場合、深夜割増は副業先のみで発生します。
本業側に深夜割増の義務が波及することはありません。


2026年労基法改正で何が変わるのか


● 「通算=割増」誤解を切り離す

これまで現場では、

「労働時間は通算する」
=「割増賃金も全部通算して払う」

という誤解が広がりがちでした。

2026年に向けた整理では、この2つを明確に切り分ける方向が示されています。

  • 健康・安全配慮 → 労働時間を通算
  • 賃金・割増計算 → 事業所ごとに判断

この切り分けにより、副業を理由に本業側の割増負担が増える、という構造は見直される見込みです。

● 企業実務は「管理」と「計算」を分ける

今後の実務対応では、

  • 労働時間管理・健康管理 → 通算前提
  • 割増賃金計算 → 自社分のみ

という二層構造で整理することが重要になります。


企業が今から整えるべき実務ポイント


● 副業申告と労働時間把握

割増賃金を分けて計算する前提でも、
労働時間の把握は不可欠です。

  • 副業の有無・内容の事前申告
  • 副業先での労働時間の月次申告
  • 深夜・休日勤務の有無の把握

これは割増計算のためではなく、
健康確保・安全配慮のための管理です。

● 就業規則の書き方(重要)

就業規則では、次の整理が実務的です。

  • 副業は原則容認
  • 事前申告・労働時間申告の義務
  • 過重労働・健康影響がある場合の調整・制限
  • 割増賃金は各勤務先で計算・支払う旨の整理

「禁止」や「許可制」に寄せるより、
通算管理と割増分離を前提に条文化する方が、2026年以降の制度と整合します。


よくある誤解と注意点


● 本業が副業分の割増を払う?

いいえ。現行整理では副業先が支払う扱いです。
本業側は健康管理・業務調整が主な役割です。

● 労働時間を把握しなければ割増不要?

割増計算とは別に、安全配慮義務の観点で把握は必要です。
「知らなかった」は通用しにくくなります。

● 今後また変わる可能性は?

はい。法改正は最終決定ではないため、
今後の政省令・通達で整理が補足される可能性があります。


まとめ


副業における割増賃金は、
「労働時間は通算、割増賃金はメイン・サブ別計算」という整理が最新の方向性です。

現行実務では、サブ(副業先)が割増賃金を負担し、
本業側は健康確保と業務調整に注力します。

2026年に向けて企業が備えるべきは、

  • 通算前提の労働時間管理
  • 割増計算の切り分け
  • 副業申告・就業規則の再整理

「副業=割増リスク」ではなく、正しく切り分けて管理することで、制度対応と人材活用は両立できます。


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※本記事は公開時点の情報にもとづいて作成しています。今後の制度変更や運用の見直しにより、内容が変わる可能性があります。

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