【2026年労基法改正】人件費はどれだけ上がる?飲食・小売・サービス業への影響を完全予測

〜インターバル義務化・14連勤禁止・週44時間特例廃止が重なると、何が起きるのか〜


「2026年の法改正で、人件費が上がるらしい」
そんな話を聞きつつも、実際にどれくらい上がるのか分からないまま、様子見になっていませんか。

飲食・小売・サービス業のように、シフト制・非正規中心・長時間営業の業種ほど、2026年改正は“確実なコスト増”として効いてきます。

本記事では、なぜ人件費が上がるのかを構造的に整理し、業界別にどれくらい影響が出るのかを現実的な水準で解説します。


2026年改正が「人件費増」を引き起こす理由


2026年の労基法改正は、単に「ルールが厳しくなる」という話ではありません。

これまで現場の工夫や我慢で吸収してきた部分が、すべてコストとして表面化する改正です。

● 勤務間インターバル義務化で「遅番→早番」が組めなくなる

勤務間インターバルとは、前日の退勤から翌日の出勤までに確保すべき休息時間のことです。

2026年改正では、
11時間以上の勤務間インターバル確保が前提になります。

たとえば飲食店でよくある、

  • 22:30退勤 → 翌9:00出勤

このようなシフトは、インターバルが10時間30分しかなく、原則NGになります。

これまで成立していた
「遅番スタッフが翌日の早番も兼ねる」運用が崩れ、早番専任人員の確保=人件費増につながります。

● 14連勤禁止で「気合いの連勤」が使えなくなる

繁忙期になると、

  • 人が足りないから連勤で回す
  • 店長・ベテランが連続出勤で穴埋め

という対応をしてきた店舗は少なくありません。

しかし2026年以降は、14日を超える連続勤務は禁止が前提になります。

連勤で吸収していた人手不足が、そのまま「追加採用コスト」として顕在化します。

● 週44時間特例廃止で「見えない残業」が増える

これまで飲食・小売・一部サービス業では、週44時間まで通常労働とする特例がありました。

2026年以降はこの特例が廃止され、
週40時間を超えた分はすべて時間外労働になります。

つまり、

  • 41〜44時間だった「グレー時間」
  • 日々のシフトのズレ

これらが自動的に残業扱いとなり、
人件費が毎月じわじわ上がる構造になります。

● 副業時間通算で割増賃金リスクが高まりやすくなる

副業・兼業をしている従業員が増えたことで、労働時間を通算して把握する必要性が、現実的な課題になっています。

たとえば、

本業:39時間
副業:4時間

この場合、通算の労働時間は43時間となります。

2026年改正に向けた整理では、労働時間は通算して管理することが前提となる一方で、時間外労働の計算や割増賃金の支払いは、原則として各企業ごとに行うという考え方が示されています。

ただし、

  • 通算で長時間労働となっていることを把握していながら放置している
  • 睡眠時間の不足や健康障害が生じるおそれがある

といった場合には、企業側の安全配慮義務が問われる可能性があります。

その結果、

  • 勤務調整の指導が必要になる
  • シフト制限や就労制限を検討せざるを得なくなる
  • 結果として人件費や運用コストに影響が出る

といった形で、間接的に割増賃金や人件費リスクが高まりやすくなる点には注意が必要です。


業界別|人件費はどれくらい上がるのか(概算)


ここからは、実務ベースで見た人件費増加の目安を整理します。

※あくまで一般的なモデルケースであり、店舗規模・営業時間・人員構成により変動します。

● 飲食業:5〜15%増

飲食業は、

  • 深夜営業が多い
  • 遅番→早番が常態化
  • 繁忙期の連勤依存

という構造を持つため、2026年改正の影響を最も強く受けます

特に夜営業がある店舗では、10%超の上昇も現実的です。

● 小売業:3〜10%増

小売業は飲食より影響は緩やかですが、

  • 開店前準備の早番
  • 繁忙期の連勤
  • 44時間特例廃止

これらが重なり、3〜10%程度の増加が見込まれます。

● サービス業(美容・介護等):5〜12%増

サービス業は、

  • 予約ズレによる長時間
  • 夜勤・宿直
  • 欠勤補填の連勤

といった要素が多く、インターバル制限の影響が大きく出ます。

● 宿泊・ホテル業:10〜20%増

24時間運営の宿泊業は、

  • 夜勤明けの休息確保
  • 中番不足
  • 深夜割増増加

が重なり、二桁増は避けにくい業界です。


人件費増を抑えるためにできる現実的な対策


● シフトの標準化

属人的なシフトをやめ、

  • 遅番→早番の禁止
  • 連勤上限の明確化
  • 月次確定期限の設定

をルール化するだけでも、無駄な割増発生を防げます

● 業務の圧縮・見直し

開店・閉店作業や発注業務など、1日10分の削減でも年間では大きな差になります。

● 勤怠設定の最適化

勤怠システムで、

  • 勤務間インターバルアラート
  • 連勤判定
  • 深夜またぎ処理

を正しく設定することで、違法シフトを事前に防止できます。


経営者が今すぐ確認すべきチェックポイント


  • 遅番→早番が残っていないか
  • 14連勤を超えるケースがないか
  • 週40時間超の扱いを把握しているか
  • 副業のルールと申告フローがあるか

これらが曖昧なままだと、人件費は想定以上に膨らみます


まとめ


2026年の労基法改正は、人件費構造そのものを変える改正です。

飲食・小売・サービス業では、3〜20%程度の人件費増が現実的に見込まれます。

ただし、シフト・勤怠・就業規則を今のうちに整えた企業は、増加幅を最小限に抑えることが可能です。


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※本記事は公開時点の情報にもとづいて作成しています。今後の制度変更や運用の見直しにより、内容が変わる可能性があります。

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