2026年労基法対応|就業規則で“必ず見直したい”4つのポイント総まとめ

〜休日・シフト・勤務間インターバル・副業時間を“あいまいなまま放置しない”ための実務ガイド〜


「うちは昔からこの就業規則でやってきたから大丈夫」
「就業規則は一応あるけれど、正直ほとんど見ていない」
「シフト制だから、細かいルールより“現場の回し方”が優先」

こうした状態のまま、2026年前後の労働時間・休日ルールの見直しを迎えると、
飲食・小売・宿泊・サービス・物流などシフト制中心の会社ほど、「就業規則の古さ」が一気にリスクとして表面化します。

厚生労働省の公表資料や審議会での議論を踏まえると、今後とくに重要性が高まるテーマは、おおむね次の4つと考えられます。

  • 法定休日を「事前に特定して示す」こと
  • 勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)の確保
  • 副業・兼業における労働時間の扱い
  • 連続勤務日数の上限(極端な連勤の抑制)

これらはすべて、就業規則のうち「労働時間」「休日」「安全衛生」「副業に関するルール」といった部分に直結します。

ところが、現場では次のような状態も珍しくありません。

  • 10年以上、就業規則を本格的に見直していない
  • 社会保険労務士に作ってもらったまま、中身を把握していない
  • 現場のシフト運用と、就業規則の条文が噛み合っていない
  • 昔のひな形に最低限の追記だけをして運用している

表向きは何事もなく回っていても、

  • 従業員からの相談・申立て
  • 外部窓口・行政への通報
  • 労基署調査・是正勧告
  • 退職時の残業代・休日割増の請求

といった“きっかけ”が生まれた瞬間に、
「実は何年も前から就業規則が最新のルールに追いついていなかった」
という事実が、一気に露わになります。

本記事では、2026年前後の制度見直しの方向性を踏まえたうえで、
「中小企業が“必ず”就業規則のどこを見直しておきたいか」を、一般論として整理します。

  • なぜ就業規則を書き換える必要が高まっているのか
  • 就業規則で“変更必須に近い”4大テーマ
  • 実務イメージが湧きやすい条文化例
  • 古い就業規則を放置した場合のリスク
  • 2026年までの改定ステップ感

「何となく不安だけれど、どこから手をつければよいか分からない」という経営者・人事・店長クラスの方に向け、
“優先順位が分かる総まとめガイド”として整理していきます。


2026年のルール見直しで、なぜ就業規則を書き換える必要があるのか


2026年前後の労働時間・休日ルールの見直しは、単に
「残業時間の上限が厳しくなる」
という話にとどまりません。

休日・シフト・勤務間インターバル・副業時間・連続勤務など、
いわば“働き方の設計図そのもの”に踏み込む内容が議論されています。

そのため、就業規則の土台が古いままだと、
制度の方向性と、現場運用・条文の三つ巴でズレが生じるリスクが一気に高まります。

● 休日・シフト・時間外の定義がシビアに問われる

これまでは、

  • 「週1日以上休ませているから大丈夫」
  • 「4週4日を満たしていれば何とかなる」

といった、比較的ざっくりした運用で乗り切れていた会社もあるかもしれません。

しかし今後は、

  • 法定休日を事前に特定しているか
  • その内容が就業規則・シフト表・勤怠システムに整合的に表現されているか

といった点が、より明確に問われていきます。

休日を事前に特定しないまま、
シフトで“何となく休ませている”状態を続けると、

  • どの日が法定休日なのか、説明できない
  • 休日割増の計算根拠が曖昧になる
  • 代休・振休の扱いが人によってバラバラになる

といった問題が顕在化しやすくなります。

● 勤務間インターバルのルールが重くのしかかる

勤務間インターバル(終業から次の始業までの休息)については、
これまでの「努力義務」から、今後さらに健康確保の重要な柱として扱われていく流れにあります。

とくに飲食・小売・宿泊・物流では、

  • 閉店処理が長引き、退勤が23時〜24時になる
  • 翌朝の開店準備や荷受けのため、7時〜8時に始業
  • 欠員が出ると、店長・リーダーに負荷が集中する

といったパターンが典型例です。

勤務間インターバルの考え方を就業規則で定義しないまま運用を続けると、
「会社として休息時間を確保する仕組みを整えていない」と評価されかねない点には注意が必要です。

● 副業時間の扱いが「実務テーマ」として浮上する

副業・兼業については、これまでも通達等で整理が進んできましたが、
今後は「本業と副業の労働時間をどう通算して考えるか」が、時間外上限や健康確保の観点から、より実務的な論点になります。

これまで、

  • 「副業は自己責任で」「うちはノータッチ」
  • 「就業時間外の行動は自由」

といったスタンスだった企業でも、
総労働時間という観点からは、

  • 本業の会社での勤務時間
  • 副業先での勤務時間

を通算して、

  • 時間外労働の上限に触れていないか
  • 割増賃金の対象となる時間が発生していないか
  • 過重労働にあたる恐れはないか

といった判断が求められる可能性があります。

そのため就業規則でも、

  • 副業の事前申告ルール
  • 他社での勤務時間の報告方法
  • 労働時間通算の考え方と、安全配慮の方針

を整理しておく必要性が高まります。

● 連続勤務日数の上限が見直しテーマになる

シフト制の現場では、

  • 繁忙期に10〜12連勤が発生してしまう
  • 欠員対応で店長だけが長期連勤になる
  • 人手不足で「何とか現場が回ればOK」になりがち

というケースも、実務上は存在します。

今後の議論では、こうした極端な連勤を抑制する方向性が意識されており、
会社として、

  • 原則として何日以上の連続勤務はさせないのか
  • 連勤が発生しそうなとき、どう是正するのか

といった方針を、就業規則やシフト運用ルールに落とし込んでおくことが重要になります。


就業規則で“変更必須に近い”4大テーマ


ここからは、就業規則のうちどの部分を優先的に見直すべきかを、4つのテーマに分けて整理します。

● 休日(法定休日の事前特定)

1つ目は、「休日の定義」と「法定休日の特定方法」です。

代表的な見直しポイントは次のとおりです。

  • 週1日の法定休日を「どの曜日」とするかの原則
  • シフト制の場合、いつまでに翌月分の法定休日を確定するか
  • 法定休日を変更・振り替える場合のルール(通知・振替・振休)

単に
「週1日以上の休日を与える」
とだけ書いてある就業規則は、今後の方向性からすると事前特定の要件が弱い可能性があります。

● 労働時間・休憩・シフト表の締切ルール

2つ目は、「労働時間・休憩・シフト確定のルール」です。

ポイントとなるのは、

  • シフト表をいつまでに作成・確定するか(例:前月末までなど)
  • シフト表上で、休日・勤務日・休憩時間をどう表記するか
  • シフト確定後に変更が生じた場合の記録方法・通知方法

これらを就業規則または別規程で明らかにすることで、
休日の事前特定、残業時間の算定、休憩時間の付与について、説明可能な状態に近づきます。

● 勤務間インターバル規定

3つ目は、「勤務間インターバル」に関する条項です。

一般的には、

  • 前日の終業から翌日の始業まで、標準としてどの程度の休息時間を確保するか(例:11時間など)
  • どうしても確保できない場合の例外と、その際の代償措置
  • 深夜勤務・夜勤シフトの扱いとの関係

といった観点を、就業規則上のルールとして位置づけておくことが多くなっていくと考えられます。

● 副業時の労働時間申告ルール

4つ目は、「副業・兼業の申告と労働時間報告」です。

就業規則では、少なくとも次のような考え方を整理しておくと実務がスムーズです。

  • 従業員が副業を行うときは、事前に会社へ届け出ること
  • 必要に応じて、他社での勤務時間・勤務日数を報告してもらうこと
  • 通算した結果、過重労働が懸念される場合の勤務調整や健康配慮の方針

「副業は一律禁止」ではなく、
「健康・安全・法令順守をどう両立させるか」という観点でルールを設計するのが実務的です。


条文化のイメージ例(就業規則にどう書くか)


ここでは、あくまで一般的なイメージとして、条文の書き方例をいくつか示します。
実際の運用にあたっては、自社の実態や顧問社労士の意見に基づき、必ず調整してください。

● 休日の特定条文(イメージ)

第◯条(休日)
1 会社は、従業員に対し、毎週少なくとも一日の休日を与える。
2 前項の休日は、原則として毎週○曜日とする。ただし、業務上の都合により必要がある場合には、他の日に振り替えることができる。
3 シフト制により勤務する従業員については、毎月○日までに作成する勤務シフト表において、翌月分の休日(法定休日を含む)を特定する。

● 勤務間インターバル条文(イメージ)

第◯条(勤務間インターバル)
1 会社は、従業員の健康確保のため、前日の終業時刻から翌日の始業時刻まで、原則として連続して十一時間以上の休息時間(勤務間インターバル)を確保する。
2 業務の性質上やむを得ない事由により前項の勤務間インターバルを確保できない場合には、勤務シフトの調整その他の方法により、可能な限り休息時間を確保するものとする。

● 副業申告条文(イメージ)

第◯条(副業・兼業の届出)
1 従業員が他の会社等に雇用されて労働に従事し、又は事業を行おうとするときは、あらかじめ会社に届け出なければならない。
2 前項の届出を行った従業員は、会社が必要と認める場合、他の会社等における労働時間その他の就労状況について報告しなければならない。

● 連続勤務の制限条文(イメージ)

第◯条(連続勤務の制限)
1 会社は、従業員に対し、原則として○日を超えて連続して勤務させないものとする。
2 業務上の必要により前項の連続勤務が見込まれる場合には、所属長は人事担当部門と協議のうえ、勤務シフトの調整その他の措置を講じる。


古い就業規則を放置したままのリスク


就業規則を改定せず、古い状態のまま運用を続けると、次のようなリスクが累積していきます。

● 休日割増の誤計算・説明不能

法定休日が事前特定されていないと、

  • 本来は休日労働として扱うべき勤務が、通常賃金のままになっている
  • 反対に、休日扱いしなくてよい日を休日として扱っている

といった割増計算のズレが起こりやすくなります。

長年にわたって誤った運用を続けた場合、
遡及しての支払いを求められる可能性もゼロではありません。

● 残業算定の誤り・サービス残業の温床

勤務間インターバルや所定労働時間、休憩の取り方が整理されていないと、

  • どこからどこまでが「労働時間」か
  • 何時間から「時間外労働」とみなすのか

が曖昧なままになり、残業代算定の誤りや“隠れ残業”が積み重なりやすくなります。

● 改正対応漏れとしての指摘・是正

労基署調査や外部専門家のチェックの場面で、

  • 「2026年前後のルール見直しへの対応が、就業規則に反映されていない」
  • 「現場のシフト運用と、規程の内容が一致していない」

といった指摘につながるおそれがあります。

● 従業員との信頼関係の毀損

最終的には、従業員との関係性にも影響します。

  • 就業規則に書いてある内容と、実態がずれている
  • 退職時に、残業代・休日手当の精算を求められる
  • SNSや口コミで、労務管理への不満が可視化される

就業規則は、単なる“書類”ではなく、
会社と従業員の約束事・信頼関係の土台です。
制度の方向性が変わるタイミングで、土台を放置するリスクは大きくなります。


2026年までの就業規則改定ステップ(一般的な進め方)


最後に、2026年前後を一つの目安とした、就業規則改定の進め方を一般論として整理します。

  • ステップ1:現状把握
    現行就業規則のうち、「休日」「労働時間」「勤務間インターバル」「副業」に関する条文を洗い出す。
  • ステップ2:ギャップ確認
    制度見直しの方向性と照らし合わせ、抜けている点・古い表現・曖昧な記載を確認する。
  • ステップ3:条文案作成
    自社の業態・シフト運用に合わせて、現場が運用可能なルールとして条文案を作成する。
  • ステップ4:社内説明と意見聴取
    管理職・店長への説明や、従業員代表からの意見聴取を行い、運用イメージをすり合わせる。
  • ステップ5:届出と運用開始
    労基署へ就業規則を届出し、シフト表や勤怠システムの設定変更とセットで施行する。
    施行後しばらくは“運用チェック期間”として、実態に合わせて細部を微修正していく。

まとめ|2026年改正は「就業規則の棚卸し」に最適なタイミング


2026年前後の労働時間・休日ルールの見直しは、
「働き方の土台」を問い直すタイミングでもあります。

とくに就業規則で見直しが必要になる可能性が高いのは、次の4テーマです。

  • 法定休日の事前特定と、その運用方法
  • 労働時間・休憩・シフト表の締切と変更ルール
  • 勤務間インターバル(休息時間)の考え方と例外の扱い
  • 副業・兼業時の労働時間申告と通算の考え方

これらが古いままでは、

  • 休日割増・残業代の誤計算
  • 改正対応漏れとしての行政指摘
  • 従業員からの不信感やトラブル

といったリスクが重なっていきます。

一方で、2026年までに就業規則を整理しきった会社は、

  • シフト設計と労働時間管理の基準が明確になり
  • 店長・管理職の判断が揃い
  • 従業員とのコミュニケーションも取りやすくなる

というメリットを得やすくなります。

「どこから手をつけるか分からない」という場合は、
まずは、

  • 休日の考え方(法定休日の事前特定)
  • 勤務間インターバルと連続勤務
  • 副業時間の扱いと申告ルール

の3点から、就業規則と現場運用を照らし合わせてみるところから始めると、
2026年改正に向けた“抜け漏れ”を最小限に抑えやすくなります。

なお、本記事は公表資料や一般的な実務の傾向にもとづく解説であり、
個別の企業に対する法的助言ではありません。
具体的な対応については、最新の法令・通達を確認のうえ、社会保険労務士等の専門家へご相談ください。


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※本記事は公開時点の公表情報にもとづいて作成しています。今後の法改正内容や運用方針の変更により、記載内容が変わる可能性があります。

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