2026年対応|シフト制企業が直撃を受けやすい理由と見直すべき運用ポイント
〜インターバル・連続勤務・休日特定・週40時間統一…“シフト制の弱点”に重なる2026年ルール見直し〜
2026年に向けて、労働時間や休日に関するルールの見直しが進められています。
これらの変更はあらゆる企業に影響しますが、もっとも影響が大きいと考えられるのはシフト制で運用している企業です。
これまで多くのシフト制企業では、「現場の事情に合わせて柔軟にシフトを組む」ことで、なんとか運用を回してきました。
一方で、
- 勤務日・休日・非勤務日の境界があいまい
- シフト確定が直前になる
- 深夜帯や早朝帯の組み合わせで連続勤務が長くなる
- 勤怠システムとシフト表の前提がずれている
といった「曖昧さ」が積み重なっているケースも少なくありません。
2026年に向けた見直しでは、勤務間インターバルの確保や連続勤務の上限、法定休日の事前特定、週40時間基準への統一、副業時間の通算など、シフト制の弱点と重なりやすい論点が多く含まれています。
この記事では、現時点で公表されている情報をもとに、
- なぜシフト制企業の影響が大きいのか
- 2026年に向けて影響が想定される主要ポイント
- 今すぐ見直したい運用
- やってはいけないNGシフト
- 2026年までの準備ロードマップ
を、実務目線で整理します。飲食・小売・サービス業、医療・福祉、コールセンターなど、シフト制を採用している企業全般が対象です。
シフト制企業はなぜ影響が大きいのか?
● 勤怠ルールが曖昧になりやすい
シフト制の最大の弱点は、勤務日・休日・非勤務日の線引きが曖昧になりやすい点です。
- 仮シフトのまま勤務させている
- 深夜またぎで実質的な休日がなくなる
- 店長や現場責任者の裁量で休日が動く
- 人手不足に応じて直前にシフト変更をしている
- シフト表・年間カレンダー・勤怠システムの前提が一致していない
こうした「曖昧さ」は、勤務間インターバルや連続勤務上限、休日特定といった新たな基準と相性が悪く、2026年以降のリスク要因になりやすい部分です。
● 休日の明示が遅れる
典型的なシフト制の運用として、次のようなパターンがよく見られます。
- 月初に「仮シフト」を出し、直前まで調整が続く
- 欠員補充や希望休の調整で、前日・当日に変更が入る
- 店舗間のヘルプ体制が属人的に運用されている
今後は、休日を事前に特定し、従業員にも分かる形で示しておくことが、これまで以上に重要視されると考えられます。
「仮シフトがほぼ本番」のような運用は、見直しが必要になる可能性が高い領域です。
● 「連続勤務」「インターバル」が管理困難
シフト制では、次のようなケースが少なくありません。
- 深夜勤務明けの翌日も早番で出勤する
- 急な欠勤補填で、予定外の連勤が発生する
- 店舗都合のシフト入れ替えで、勤務間隔が短くなる
2026年に向けて、勤務終了から次の勤務開始までの「間隔(インターバル)」や、一定日数を超える連続勤務への対応が重要なテーマになると見込まれており、シフト制企業は特に影響を受けやすいと考えられます。
2026年改正で影響する主要ポイント
● 勤務間インターバル義務化(11時間)
現時点での情報では、勤務終了から次の勤務開始まで一定時間(例:11時間)のインターバル確保が原則として求められる方向で議論が進んでいます。
シフト制では、次のようなパターンが典型的です。
- 22時閉店 → 23時退勤 → 翌日9時出勤(インターバル10時間)
- 深夜帯勤務のあと、翌日早番に入る
このような組み方をどこまで認めるか、代替のシフトパターンをどう設計するかは、2026年に向けて重要な検討テーマになります。
● 14日連続勤務の禁止
一定日数を超える連続勤務を制限する方向性も示されています。
特に、深夜またぎや休日の位置づけが曖昧な企業では、次のようなケースが生じやすくなります。
- 深夜勤務が休日をまたぎ、結果として連勤扱いになる
- シフト変更により、意図せず連続勤務日数が伸びてしまう
「表向きは休みが入っているが、実質的には長期連勤になっていた」というケースは、今後より強く意識される可能性があります。
● 法定休日の事前特定義務
法定休日を事前に明らかにしておくことの重要性が高まっています。
とくに、次のような運用は見直しの対象となりやすい領域です。
- シフトが固まるまで、どれが法定休日か定まらない
- 店舗ごとに休日の考え方が異なり、会社としての基準がない
- 非勤務日をそのまま休日として扱っている
今後は、「どの曜日、またはどの日を法定休日と扱うか」を就業規則・カレンダー・シフトで一貫して示すことが求められると考えられます。
● 週44時間特例の廃止
一部業種で認められてきた「週44時間特例」についても、週40時間基準への統一が予定されている方向で議論が進んでいます。
小売・飲食・サービス業など、特例の対象となってきた業種では、
- これまで「44時間までは所定内」としていた部分が、今後は時間外扱いになる
- 繁忙期のシフトをそのまま維持しづらくなる
といった変化が想定されます。
● 副業時間の通算ルール
副業・兼業が広がるなか、複数事業主での労働時間を通算して把握する方向性も示されています。
- A社での勤務終了時刻
- B社での勤務開始時刻
- 週40時間を超えるかどうか
- インターバル確保ができているか
特にシフト制でWワークが多い職場では、「他社の勤務状況をどこまで把握するか」という実務上の論点が浮上しやすくなります。
今すぐ見直すべき運用3つ
● 前月末までのシフト確定
まず見直したいのは、シフト確定のタイミングです。
- 翌月分のシフトは前月末までに確定する
- 「仮シフト」は例外的な位置づけにとどめる
- 前日・当日の変更は、原則として緊急時に限定する
休日特定やインターバル管理の前提として、「いつの時点でシフトが固まっているか」は非常に重要な指標になります。
● 休日位置を固定する方法
次に検討したいのが、休日の基準をどう決めるかです。
- 法定休日とする曜日を決める(例:日曜日)
- 所定休日の考え方を明文化する
- シフトで休日を動かす場合の手続き(振替休日など)を決める
- 年間カレンダーで休日位置を分かりやすく示す
休日位置が一定のルールのもとで決められているかどうかは、法令対応だけでなく、従業員の安心感にも直結します。
● インターバル判定方式
勤務間インターバルを確保するためには、「何をもってインターバル確保とみなすか」をあらかじめ定めておくことが有効です。
- 退勤時刻から次の出勤時刻までの最低時間を決める
- 深夜明けの場合の特別ルール(翌日の開始時間調整など)
- 勤怠システムでのアラート設定
- 仮シフト段階でのインターバル判定方法
シフト管理者が判断に迷わないよう、「時間のルール」を数字で決めておくことがポイントです。
シフト制でやってはいけないNG運用
● 「仮シフト→直前修正」頼みの運用
「まず仮シフトを出し、直前に現場都合で修正する」という運用は、休日特定やインターバル管理との相性が悪く、2026年以降は特に注意が必要です。
休日判定・割増判定・連続勤務カウントの前提が、常に動いてしまうためです。
● 休日が曖昧なサイクル
次のような状態も、見直しが必要なサインです。
- 毎週の休日の位置が明確な基準なく変わっている
- 店舗や部門ごとに休日の考え方が異なる
- 非勤務日を休日として扱っている
- 深夜またぎで、休日が実質的に休みになっていない
曖昧さが残っていると、制度見直しの方向性に沿った運用が難しくなります。
● 深夜またぎの処理ミス
日曜深夜〜月曜早朝など、法定休日と翌営業日をまたぐシフトでは、どの日に休日労働が発生しているかを慎重に確認する必要があります。
就業規則・シフト・勤怠で前提がずれていると、割増計算だけでなく、連続勤務の管理にも影響が出ます。
2026年までのロードマップ
最後に、2026年に向けて段階的に進めるイメージのロードマップを整理します。
① 今すぐ(〜3か月)
- 就業規則の休日・勤務時間条文の棚卸し
- シフト確定ルール(いつ・誰が・どのように決めるか)の明確化
- 店長・管理職への基礎研修(休日・インターバル・連続勤務など)
② 半年以内
- 年間カレンダーの導入または見直し
- 勤怠システムの設定(休日判定・週40時間基準など)の再確認
- 深夜またぎシフトの扱いルールを統一
③ 1年以内(2026年対応の仕上げ)
- インターバルアラート・連続勤務アラートの本格運用
- 週40時間超の自動判定・残業時間の可視化
- 副業者の勤務情報を確認するフローの整備
- 休日労働の割増再計算のルール整備と、必要に応じた点検
すべてを一度に変える必要はありませんが、「就業規則 → カレンダー → シフト → 勤怠設定」の順に整合性を取ることが、シフト制企業にとっての2026年対応の土台になります。
👉 人事部門導入のご相談は:トナリの人事課長®公式ページ
「トナリの人事課長®」は、中小企業の“人事部門まるごと導入ではなく、実務伴走で仕組みを整えるHR支援サービス”です。
※本記事は公開時点の情報にもとづいて作成しています。今後の制度変更や運用の見直しにより、内容が変わる可能性があります。
※登録はいつでも解除できます