2026年対応|法定休日の“間違いやすい論点”を総点検する実務ガイド
〜休日の誤解は割増誤計算・長時間連続勤務・是正勧告につながる。シフト制・変形制企業が押さえるべき本質〜
2026年に向けて、法定休日の取り扱いをより明確に管理する方向で、労働時間・休日制度の見直しが進んでいます。
そのなかでも大きなテーマの一つが、「法定休日を事前に特定し、分かりやすく示すこと」です。
一方で、厚生労働省や労働基準監督署、社労士の現場から共通して聞こえてくるのが、次のような声です。
- 「企業の休日運用には誤解が非常に多い」
- 「基本用語の理解不足が、割増計算ミスにつながっている」
実際、現場では次のような“あるある”が頻繁に見られます。
- 「非勤務日=休日」だと思っていた
- 「週休」と「所定休日」が同じ意味だと思っていた
- 「祝日は全部会社の休日でしょ?」
- 「休日労働と時間外労働の違いが分からない」
- 「代休と振替の違いを説明できない」
- 「深夜またぎで休日が潰れていることに気づいていなかった」
その結果、企業側では次のようなトラブルが生じやすくなります。
- 法定休日割増の未払い
- 休日割増と時間外割増の計算ミス
- 深夜明けが休日扱いにならず、連続勤務が長期化する
- シフトごとに休日位置の考え方がバラバラ
- 非勤務日を休日として扱ってしまう
- 代休と振替を混同した結果、割増の支払いが不足する
- 連続勤務のカウント誤りによる安全配慮義務のリスク
こうした誤りは、2026年以降の制度見直しの中で、より厳しく問われる可能性があります。
本記事では、法定休日をめぐる「間違いやすい論点」を総点検し、シフト制・変形労働時間制・多店舗運営の企業が何をどう見直すべきかを整理します。
企業が間違えがちな休日の取り扱いTOP5
● 「休日=非勤務日」ではない
最も多い誤解は、「シフトに入っていない日=休日」という考え方です。
しかし、これは正しくありません。
非勤務日とは、単にその日にシフトが入っていないだけであり、法的な意味での休日とは異なります。
- 法定休日:労基法で求められる休日(原則週1日)
- 所定休日:会社が独自に定める休日
- 非勤務日:シフト上たまたま出勤がない日(休日とは限らない)
この3つを混同すると、休日労働の割増判定や連続勤務のカウントが狂い、結果として遡及リスクが生じます。
● 週休と所定休日の混同
「週休=所定休日」というイメージも、よくある誤解です。
- 法定休日(週休):原則、週に1回与えることが求められる休日(35%割増の対象)
- 所定休日:会社が就業規則などで決める休日
- 法定外休日:所定休日のうち、法定休日以外の休日(25%割増の対象になり得る)
週休2日制の会社であっても、法律上求められているのは「週1日以上の法定休日」であり、もう1日は会社が任意に設定している所定休日であることが多くなります。
● 祝日が休日と誤解される
「祝日は全部会社の休日」というイメージも根強くありますが、 祝日は『国民の祝日』であって、労基法上の休日ではありません。
会社として祝日を休日にするかどうかは、就業規則や労使協定で決める内容です。
「祝日と休日」を混同すると、カレンダーの休日設定と実際の法定休日がずれてしまう場合があります。
● 代休と振替の違い
代休と振替の違いを曖昧なまま運用している企業も少なくありません。
- 振替休日:あらかじめ休日を別の日に移す運用(事前に指定・原則割増なし)
- 代休:休日に働かせたあとで与える休み(休日割増の支払いが必要)
この違いが就業規則や運用ルールに明記されていないと、割増計算の不足や説明トラブルにつながります。
● 深夜またぎの処理ミス
深夜帯(22:00〜翌5:00)をまたぐ勤務では、休日のカウントに注意が必要です。
たとえば、日曜日を法定休日としている会社で、
- 日曜22時〜月曜7時まで勤務した場合
この勤務は、原則として日曜日の法定休日にかかる労働として扱われます。
月曜日を別の休日として扱うことが適切かどうかは、就業規則やシフトの設計次第ですが、深夜またぎが「見かけ上の休日」を潰してしまうケースは珍しくありません。
法定休日を巡る“2026年の変更点”を整理
● 休日の特定がより重視される
2026年に向けた見直しでは、休日を事前に特定し、分かりやすく示す運用がより重視される方向です。
特に次のような運用は、今後は見直しが求められる可能性があります。
- シフトが固まるまで休日が決まらない
- 担当者によって休日の基準が異なる
- 「非勤務日=休日」で扱っている
- 店舗や事業所ごとに休日の考え方がバラバラ
● シフトへの反映
シフト制の企業では、「休日がシフト表上でどこにあるか」を明示することが重要です。
- H:法定休日
- S:所定休日
- N:非勤務日
このように区別しておくことで、休日労働かどうかの判断に迷いが生じにくくなります。
● 勤怠側の休日判定
勤怠システムでは、次のような設定項目を見直しておくと安心です。
- 法定休日を登録できる機能
- 休日労働アラート
- 週40時間基準による時間外管理
- 変形労働時間制との連動
- 連続勤務の自動判定(一定日数以上の連続勤務に対するチェック)
シフトと勤怠の前提がずれている企業では、割増計算の誤りが蓄積しやすくなります。
就業規則に必要な休日関連の記載
● 休日の位置づけ
就業規則では、少なくとも次の用語を明確に区別しておくことが重要です。
- 法定休日
- 所定休日
- 非勤務日
- 振替休日
- 代休
ここが曖昧なままだと、現場での運用判断も属人的になりやすくなります。
● 付与方法
休日の付与方法についても、具体的な書き方をしておくと安全です。
- 週1回の法定休日を与えること
- 所定休日は週◯日とすること
- 法定休日は年間カレンダーまたは勤務シフト表により事前に示すこと
こうしたルールを明文化しておくことで、シフト作成担当者の判断も安定します。
● 振替・代休の処理
振替休日と代休については、次のような観点から記載しておくと良いでしょう。
- 振替休日は、あらかじめ休日を別日に指定する場合に用いること
- 法定休日に勤務させた場合は、代休の付与と休日割増の取扱いをどうするか
- 振替・代休の手続き期限
- 従業員への周知方法
取扱いが明確でないと、管理側・従業員側の双方にとって納得感のない運用になりかねません。
休日管理がうまくいかない会社の特徴
● 属人化
休日管理が特定の担当者や店舗責任者の“経験則”に依存している会社では、次のような問題が起こりがちです。
- 担当者が変わると休日の基準も変わる
- 店舗ごとにルールがバラバラ
- 本社と現場の認識が一致していない
2026年以降は、こうした属人的な運用が指摘される可能性も高まります。
● 勤怠設定のズレ
次のような“トリプル不一致”も典型的なパターンです。
- シフト上は休日
- 勤怠上は非勤務日
- 年間カレンダー上は法定休日
前提がバラバラのまま運用が続くと、残業時間や休日労働時間の把握に大きな差が出てしまいます。
● シフト確定が遅い
「仮シフト→直前修正」が常態化している会社では、休日が事前に特定されているとは言い難い状態になりがちです。
連続勤務や休日割増を安定的に管理するためにも、シフトの確定時期を前倒しすることが重要な論点となります。
相談が必要なケースと対策ルート
次のような状況に当てはまる企業は、早めに専門家への相談を検討してもよい段階に入っています。
- シフト制と変形労働時間制を併用している
- 休日を毎週固定できず、個人ごとに曜日が大きく異なる
- 深夜またぎの勤務が多い
- 代休と振替の違いが社内で共有されていない
- 年間カレンダーが存在しない、または形骸化している
- 割増計算の誤りを指摘されたことがある
2026年に向けた休日運用の見直しは、一度に全てを変える必要はありませんが、「就業規則」「シフト」「勤怠設定」の三位一体で整理することが重要です。
まとめ
2026年の制度見直しを踏まえると、法定休日を巡る“間違いやすい論点”をひとつずつ潰していくことが、最も効率的なリスク対策になります。
- 非勤務日と休日は性質が異なり、混同すると割増計算が崩れる
- 祝日は労基法上の休日ではなく、会社としてどう扱うかを決める必要がある
- 代休と振替の違いは、休日割増の有無を分ける重要なポイント
- 休日を事前に示す仕組みを整えることで、シフト・勤怠・就業規則の整合が取りやすくなる
- 属人的な判断から脱却し、ルールと仕組みで休日運用を支えることが、2026年対応の土台になる
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※本記事は公開時点の情報にもとづいて作成しています。今後の制度変更や運用の見直しにより、内容が変わる可能性があります。
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