14日勤務禁止 × 勤怠管理システム|2026年までに必要な設定は?
〜「シフトが回る」から「法令も健康も守れる」に変えるための勤怠アップデート〜
2026年の労基法改正では、“14日を超える連続勤務をさせない”という考え方が、これまで以上に強く求められる方向に進んでいます。
紙のシフト表や、店長の勘と経験だけで連勤を管理していた時代は、そろそろ限界が見え始めています。
月の休日数は足りている、週1日の法定休日も形式上は確保している。それでも現場では、
- 気付けば13〜14連勤になっていた
- 深夜明け → 翌日早番で、実質休みがない
- 店舗間応援や副業まで含めると「いつ休んでいるのか分からない」
という状態が起きています。
ここに「14日勤務禁止」「勤務間インターバル」「週40時間基準」が重なれば、勤怠システム側でルールを自動監視しなければ、現場では守りきれないのが実情です。
つまり2026年に向けて、勤怠システムには次の役割が求められます。
- 連続勤務日数のカウント
- 勤務間インターバル未達の自動検知
- 副業・店舗間勤務を含めた“過重労働の兆候”アラート
この記事では、
- 勤怠システムで「連続勤務上限」を管理する考え方
- 主要ベンダーが提供し始めている機能の方向性イメージ
- 設定漏れが起きやすいポイント
- シフト制企業が必ずやっておくべき3項目
- 2026年に間に合わない企業が増える理由
を、人事・労務・店舗マネジメントの視点から整理します。
結論はシンプルです。2026年対策は「就業規則」だけでは足りず、「勤怠システムの設定」がセットで必須になります。
勤怠システムで“連続勤務上限”を管理する時代へ
14日超えアラート
まず、2026年対応の前提として、「連続勤務日数」をシステムが自動でカウントし、一定日数でアラートを出す仕組みが必要です。
最低限、次の3段階は押さえておきたいところです。
- 10〜11連勤時点:注意喚起アラート(店長・シフト担当者宛て)
- 12〜13連勤時点:要調整アラート(エリアマネージャー・人事宛て)
- 14連勤到達前:緊急アラート(人事部門・経営層にも通知)
ポイントは、“15日目で初めて気付く”状況を作らないことです。
実務で問われるのは、「発生してから慌てて対応したか」ではなく、「発生する前に止める仕組みを持っていたか」です。ここを勘違いすると、後から説明に苦しむ場面が増えます。
休息時間の重複チェック
連続勤務日数の管理とセットで必要になるのが、勤務間インターバル(休息時間)の自動チェックです。
具体的には、次のような観点でシステムに判定させます。
- 終業時刻から次の始業時刻までに、最低○時間(例:11時間)が空いているか
- 深夜帯(22:00〜5:00)をまたぐ勤務の扱いをどうするか
そして、判定結果に応じて、
- インターバル未達 →「休息不足の可能性」としてアラート
- 連勤+インターバル未達 → 優先度の高いアラート
というように、“危険度の高い勤務パターン”を自動で浮かび上がらせるイメージです。
副業者の時間インポート
2026年に向けた大きな論点が、「副業・兼業者の総労働時間管理」です。
理想形は次の通りです。
- 本業側で、副業先の勤務時間情報を何らかの形でインポートする
- 勤怠システム上で、本業+副業の総労働時間・連勤状況を把握できる
とはいえ、他社システムとの完全自動連携は、現時点ではハードルが高いケースも多いはずです。
現実的な落としどころとしては、
- 副業先の月次勤務表を提出してもらう
- CSVなどで簡易取り込みできる仕組みを用意する
- 少なくとも「月の総労働時間/連勤日数の目安」を入力できる項目を設ける
といった、“ゼロではなく、一歩でも見える化を進める設計”が大切です。
主要ベンダー(KOT・ジョブカン等)の対応状況イメージ
ここでは具体的な製品仕様の話ではなく、「どの勤怠システムでも共通して押さえるべき機能観点」をイメージベースで整理します。
インターバル設定
多くのクラウド勤怠ではすでに、
- 終業〜始業の間に○時間以上必要とする設定
- インターバル未達時にアラートを出す機能
といった項目が増えています。
企業側がやるべきことは、とてもシンプルです。
- 自社の就業規則に定めた休息時間(例:11時間)を、そのまま設定値に反映する
- 職種・雇用区分別にインターバル時間を変えられるか確認する
- インターバル違反時の通知先(店長/人事/経営)を決めておく
“規程と設定値がずれている”状態は、最も避けたいパターンです。
連勤アラート
一部のベンダーでは、次のような機能が用意され始めています。
- 連続勤務日数○日で警告を出す
- ○日を超えたら打刻時にエラーや警告表示を出す
もし現在利用中のシステムにこの機能がない場合は、
- カスタマイズで対応できるか
- アドオンやオプション機能で補えるか
- 将来リリース予定のロードマップに含まれているか
を早めに確認し、2026年までのギャップを把握しておくことが重要です。
変形労働時間との連動
1ヶ月/1年変形労働時間制を使う企業では、
- 月間総労働時間の上限
- 週40時間換算での超過チェック
に加えて、
- 連勤
- インターバル
のトリプル管理が必要になります。
勤怠システム側で、
- 変形制に合わせた労働時間管理
- それとは独立した連勤カウント
- インターバル未達のチェック
が同時にできるかどうかは、今後のシステム選定や乗り換えを検討する際の大きな判断材料になります。
設定漏れが起きやすいポイント
締め日の違い
本社は月末締め、店舗は15日締め、グループ会社は20日締め——このように締め日がバラバラな企業は要注意です。
よくあるのが、
- 連勤カウントを“月度単位”で見てしまう
- 月をまたぐ連勤(例:月末〜月初)を見落とす
というパターンです。
連勤・インターバルの判定は、「締め」とは関係なく、“カレンダー日付ベースで何日連続か”で見るべきです。
集計期間(締め日)と、連勤判定期間を混同しない設定が必要になります。
0時またぎ
22:00〜翌5:00といった深夜シフトは、
- システム上の勤務日
- 労働時間計算上の“日付”
- 連勤カウント上の“日”
がズレやすい、典型的な落とし穴です。
設定を誤ると、
- 実質的には連勤なのに、システム上は2日に分割されて見えにくい
- インターバル未達が正しく判定されない
といった問題が起きます。
「0時をまたいだ場合、どちらの日として扱うか」は、ベンダーとのすり合わせ必須の論点です。
休憩付与の自動化
休憩時間の自動付与設定も、連勤・インターバル管理と密接に関わります。
例えば、
- 実際には休憩が取れていないのに、自動で1時間付与されている
- シフト上の休憩と、打刻上の休憩が一致していない
といったズレがあると、
- 実際の拘束時間 > システム上の拘束時間
- 実際のインターバル < システム上のインターバル
という、“数字上だけ安全に見える状態”が生まれてしまいます。
インターバル管理を本気で行う前提では、「休憩の自動付与ロジック」が実態と合っているかを再確認することが必須です。
シフト制企業が“必ずやるべき”3項目
連続勤務の定義付け
最初の一歩は、社内で「何をもって連続勤務と見るか」を言葉にしておくことです。
例えば、次のようなポイントをあらかじめ決めます。
- 連続勤務の定義(何日を超えたら注意ラインとするか)
- 深夜明け → 翌日勤務をどう数えるか
- 半日勤務・在宅作業を勤務日に含めるか
- 14日禁止ルールを、社内でどう運用するか
定義がないまま勤怠設定だけを変えると、部門ごとに解釈がバラバラになり、「現場はどう判断すればいいのか分からない」という状態になりがちです。
休日ローテーションの登録
シフト制では、「誰をいつ休ませるか」をシステム上で設計する発想が欠かせません。
具体的には、
- 職種別・ポジション別の休日ローテーションパターンを作る
- 店舗ごとの“休ませ方の型”をテンプレート登録する
- 店長はテンプレートをベースに微調整するだけの運用に変える
といった形で、“個人の頑張り”ではなく、“仕組みとルール”で休日を担保する設計が求められます。
勤務インターバルの確保
最後の柱が、勤務間インターバルの確保です。
次のようなステップで整備していくと、現場の混乱を抑えやすくなります。
- 最低休息時間(例:11時間)の社内基準を定める
- 深夜勤務後の翌日シフトは、遅番か休みにするルールを決める
- インターバル違反となるシフトは、そもそも組めない/承認できない設定にする
“危険なシフトは最初から組めない”状態まで落とし込めると、店長やシフト担当者の心理的負担は一気に軽くなります。
2026年に間に合わない企業が増える理由
なぜ、2026年対応に間に合わない企業が出てくるのか。理由はとてもシンプルです。
- 就業規則だけ先に変え、勤怠システムを後回しにしてしまう
- システムの仕様を理解できる担当者が社内に少ない
- ベンダー側の改修スケジュールと、自社の運用テスト期間を見誤る
特に、
- 直前になってから、追加要件をベンダーにまとめて投げる
- 他の法改正対応(週40時間、割増率の見直しなど)と同時並行で進める
といった状況になると、検証が不十分なまま本番運用に入らざるを得ないリスクが高まります。
“2026年から始める”のではなく、 “2025年のうちに試験運用まで回しておく”くらいのスケジュール感で動いておくと、現場の負担も大きく軽減できます。
まとめ
「14日勤務禁止 × 勤怠管理システム」は、シフト制企業にとって避けて通れないテーマです。
押さえておきたいポイントを整理すると、次の通りです。
- 2026年以降は、連続勤務上限・インターバル・副業時間を勤怠システム側で自動管理することが強く求められる
- 14日超えアラート、インターバルチェック、副業時間の取り込みは「あると良い」ではなく「ほぼ必須」に近づいている
- 締め日、0時またぎ、休憩自動付与は、設定ミスが連勤見落としを生みやすい三大ポイント
- シフト制企業は、「連続勤務の定義」「休日ローテーション」「インターバル確保」の3つを最優先で設計すべき
- 就業規則だけ変えても意味はなく、「規程 × 勤怠設定 × 現場運用」の三位一体構築が必要になる
何より大切なのは、“法律だから仕方なく対応する”という発想から抜け出すことです。
連続勤務の管理は、
- 離職防止
- 業務品質の向上
- 採用力の向上
- 労災・事故の防止
といった、企業が本当に守りたいテーマと直結しています。
2026年の改正は、「働き方の土台」を作り直すためのチャンスでもあります。
自社の勤怠システムが、連勤上限・インターバル・副業時間にどこまで対応できているか。
一度棚卸しを行い、「いつまでに何を変えるか」を逆算することから、一歩を踏み出してみてください。
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