勤務間インターバル未達時の対応方法|法的リスクと企業が取るべき行動【2026労基法改正対応】
〜「11時間を確保できなかった日」に、企業が“その場で”取るべき実務対応を整理〜
2026年以降の労働基準関係法制の見直し議論において、勤務間インターバル制度(11時間)は、単なる努力義務ではなく、実務管理の前提条件として位置づけられる方向性が示されています。
勤務間インターバル制度は、本来「未達が起きないようにシフトを組むこと」が大前提です。
しかし、深夜帯を含む業種や、突発対応が発生しやすい現場では、現実問題として“未達が発生する日”を完全にゼロにすることは困難です。
特に、飲食・小売・宿泊・物流などの現場では、次のような場面が日常的に起こります。
- 閉店後の片付けや締め作業が想定以上に長引く
- 深夜帯のトラブル対応で終業時刻が後ろ倒しになる
- 遅番から翌朝の早番につながるシフトが発生する
- 副業・兼業により実態として休息時間が削られる
こうした状況で勤務間インターバルが11時間に満たなかった場合、企業は「何をすべきか」「何をしてはいけないのか」を即座に判断する必要があります。
対応を誤ると、安全配慮義務違反や労基署指導といったリスクに直結します。一方で、正しい対応フローを持っていれば、未達が発生した場合でもリスクを最小限に抑えることが可能です。
この記事では、勤務間インターバル未達が発生した場合の考え方と、企業が取るべき実務対応を、管理職・店長・人事、そして最終決裁者である経営者の視点から整理します。
インターバル未達の状態とは何か
● 休息が8時間以下のケース
勤務間インターバル未達とは、前日の実態としての終業時刻から、翌日の実態としての始業時刻までの休息時間が11時間に満たない状態を指します。
中でも、特に注意が必要なのが休息時間が8時間を下回るケースです。
例えば、終業が0時30分、翌日の始業が8時の場合、休息時間は7時間30分しか確保されていません。この水準になると、十分な睡眠時間を確保すること自体が困難になります。
厚生労働省の資料でも、休息時間の短縮は次のようなリスクを高めることが指摘されています。
- 判断力・集中力の低下
- 労働災害・交通事故の発生率上昇
- 慢性的な疲労の蓄積
単に「11時間に足りない」という問題にとどまらず、安全配慮義務の観点からも極めてリスクの高い状態と言えます。
● 深夜→早番の連続
現場で最も多い未達パターンが、深夜勤務から翌朝の早番につながるケースです。
シフト上は問題がないように見えても、実態として終業時刻が深夜にずれ込んだ場合、休息時間は一気に削られます。
このような「深夜→早番」の組み合わせが常態化している場合、企業はシフト設計そのものが不十分と評価される可能性があります。
● 副業者のインターバル未達
副業・兼業を行っている従業員についても、勤務間インターバルの考え方は無関係ではありません。
2026年以降の議論では、副業・兼業を前提とした労働時間管理の整理が進められており、実態として休息が確保されていないケースは問題視されやすくなります。
本業と副業の組み合わせにより、結果として休息時間が短くなっている場合、企業側にも配慮が求められます。
企業に発生するリスク
● 健康障害
勤務間インターバルが十分に確保されない状態が続くと、従業員の健康に重大な影響を及ぼします。
睡眠不足による体調不良だけでなく、精神的ストレスや集中力低下が重なり、業務上の事故につながる可能性も高まります。
● 安全配慮義務違反
企業には、従業員が安全に働ける環境を整える義務があります。
インターバル未達が把握されているにもかかわらず、是正措置を取らずに勤務を継続させた場合、安全配慮義務違反と評価されるリスクがあります。
● 労基署指導の対象
労働基準監督署は、終業時刻と始業時刻の実態、打刻記録、深夜帯の勤務状況などを重点的に確認します。
未達が繰り返し発生している場合、「管理が不十分」と判断され、是正指導の対象となる可能性があります。
未達時の正しい対応
● 休息の付与
最優先で行うべき対応は、休息時間を確保することです。
具体的には、翌日の始業時刻を後ろ倒しにする、または勤務自体を見直すことで、実態として11時間以上の休息を確保します。
● 翌日の勤務変更
業務に支障が出ない範囲で、他の従業員との交代や勤務時間の短縮を検討します。
重要なのは、「形式上のシフト」ではなく、「実態としての休息」を基準に判断することです。
● 代休・早退の扱い
未達が発生した場合の処理方法について、代休、時間休、有給休暇の活用などを含め、あらかじめルール化しておくことが重要です。
運用を明確にしておくことで、現場の判断ミスや混乱を防ぐことができます。
勤務間インターバル未達は、「起きてしまった後」の対応が企業リスクを大きく左右します。
未達をゼロにする努力と同時に、未達が発生した場合の対応フローを整備しておくことが、2026年以降の実務対応では不可欠です。
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