飲食・小売・サービス業が最も注意するべきポイント|2026年労基法改正の経営リスク一覧

〜「シフトが回らない」「店長が倒れる」を防ぐための、店舗ビジネス向けリスクマップ〜


2026年の労基法をめぐる動きは、飲食・小売・サービス業といった店舗型ビジネスにおいて、現場運営と経営判断の両方に影響を及ぼすテーマです。
とくにシフト制を前提とする業態では、制度の理解不足よりも「今までのやり方が通用しなくなる」ことによる混乱が先に表面化しやすい傾向があります。

店舗型ビジネスの多くは、早番・遅番・深夜帯・中抜けといった複雑な勤務形態に加え、店長・社員・アルバイト・副業者が混在する構造です。
これまで現場の調整力や店長の裁量で吸収されてきた部分が、2026年以降はリスクとして見えやすくなっていきます。

この記事では、飲食・小売・サービス業が2026年を見据えてとくに注意しておきたい経営リスクを、現場・オペレーション・経営判断の3層で整理します。
「何から見直せばいいのか」を把握するための一覧として活用してください。


店舗型ビジネスが受ける打撃ポイント

まず押さえておきたいのは、2026年改正をめぐる動きが店舗運営に与える直接的な影響です。
制度対応を労務管理だけの話にせず、日々のシフトや人員配置の問題として捉えることが重要です。


● シフトが回らなくなる

最も多くの店舗で直面しやすいのが、「今まで普通に組めていたシフトが成立しにくくなる」という問題です。
遅番から翌日の早番、深夜作業の翌日の通常勤務など、従来は調整で何とかしていた組み合わせがリスクとして浮かび上がります。

結果として、早番と遅番の入れ替えが効かなくなり、繁忙日に人を詰め込むシフトが組みにくくなるケースが増えます。
とくに少人数で回している店舗ほど、影響を受けやすくなります。


● 深夜帯の人件費が増えやすくなる

深夜帯は売上が立ちにくい一方で、割増賃金や人員追加が必要になりやすい時間帯です。
閉店後の片付けや清掃、棚卸しなどが重なると、人件費だけが膨らむ構造になりやすくなります。

これまで問題にならなかった深夜作業が、採算面から見直しを迫られる可能性が出てきます。
営業時間や作業工程の整理が、経営判断のテーマとして浮上しやすくなります。


● 早番・遅番の調整が難しくなる

勤務間の休息時間を意識した運用に寄せると、遅番と早番を柔軟に組み替えることが難しくなります。
「誰でも何でもできる」前提のシフトは、調整余地が少なくなりがちです。

時間帯ごとに役割を分ける、担当を固定化するなど、シフト設計そのものを見直す必要が出てきます。


● 副業バイトの連勤が見えにくくなる

副業・兼業が一般化する中で、店舗側からは見えない連続勤務が発生しやすくなります。
本人は短時間のつもりでも、他社勤務と重なることで休息不足や連勤状態になっているケースがあります。

この「見えない負荷」を前提にしないままシフトを組むと、後から調整が必要になる場面が増えていきます。


オペレーション観点で発生しやすい混乱

次に、現場オペレーションの中で起きやすい混乱パターンを整理します。
日々の運営の中で見落とされやすいポイントほど、後から問題化しやすくなります。


● 勤務間インターバルが不足する組み合わせ

遅番から早番への連続、深夜作業後の通常勤務などは、最も発生しやすいリスクです。
とくに繁忙期や月末業務が重なる時期は、気づかないうちに休息時間が短くなりがちです。

シフト作成時点で、危険な組み合わせを避けるルールを持っているかどうかが分かれ目になります。


● 休日の位置が曖昧なまま運用される

「週に1日は休ませている」という感覚だけで運用していると、休日の位置が曖昧になりやすくなります。
月末・月初をまたぐタイミングでは、休日が抜け落ちてしまうケースも少なくありません。

シフト完成のタイミングや、週の起算日の整理が不十分な場合に起こりやすい問題です。


● 時間外や深夜の通算を見落とす

副業者や掛け持ちスタッフがいる店舗では、労働時間の通算管理が複雑になります。
自社では短時間のつもりでも、合算すると時間外や深夜割増が必要になるケースがあります。

現場判断だけに任せると、見落としが起きやすいポイントです。


経営側の意思決定が必要になるポイント

制度対応だけでは吸収しきれない部分は、経営判断として整理する必要があります。
現場に任せきりにすると、負担が偏りやすくなります。


● 営業時間をどうするか

深夜帯の人件費や休息時間の確保を考えると、営業時間の見直しが論点になります。
短縮・集中・役割分担など、複数の選択肢を比較する必要があります。


● 固定残業や契約条件の整理

従来の労働時間設計を前提とした固定残業が、実態と合わなくなる可能性があります。
契約内容と実際の働き方のズレを整理することが求められます。


● 店長・管理職の役割再定義

店長がすべてをカバーする構造は、休息不足や属人化を招きやすくなります。
時間帯や役割ごとの責任分担を見直すことが、安定運営につながります。


最低限やっておくべき事前整備

すべてを一度に整える必要はありません。
まずは事故につながりやすいポイントから、順番に整理していくことが現実的です。


  • 勤務間の休息を意識したシフト基準の整理
  • 遅番・早番の組み合わせルールの明確化
  • 店長・管理職の休日を先に確保する運用
  • 月末・月初の休日配置チェック
  • 副業者の申告ルールと確認フロー
  • シフト確定時期の前倒し検討
  • 勤怠データでの注意点の見える化

まとめ


2026年の労基法をめぐる動きは、単なる法改正対応ではなく、店舗型ビジネスにとって運営構造を見直すタイミングでもあります。

シフト、人員配置、店長の役割、営業時間は、それぞれが独立した問題ではありません。
全体を一つの構造として捉えることで、結果的に労務リスクや人件費の不安定さを抑えやすくなります。

2026年を「厳しくなる年」と捉えるか、「無理のある運用を整理する年」と捉えるかで、その後の店舗経営の安定度は大きく変わってきます。


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※本記事は公開時点の情報にもとづいて作成しています。今後の制度変更や運用の見直しにより、内容が変わる可能性があります。

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