勤務間インターバル対応で人件費はなぜ増えるのか?増えにくい会社の共通点を整理

〜「シフトが組めない」「人件費が跳ねる」前に見直したい、交代制設計と実務の分かれ道〜


勤務間インターバルの考え方が整理されつつある中で、現場から最も多く聞かれるのが「人件費が増えるのではないか」という不安です。
とくに飲食・小売・宿泊・物流など、営業時間が長くシフト制が中心の業種では、その影響がより現実的な問題として浮上しています。

これまで当たり前のように行われてきた「遅番の翌日に早番へ入る」「夜勤明けに少しだけ応援に出てもらう」といった運用は、勤務と勤務の間の休息確保という観点から、見直しを迫られる場面が増えています。

ただし重要なのは、勤務間インターバルを意識したからといって、必ずしも人件費が大きく増えるわけではないという点です。
同じ条件下でも、人件費が膨らみやすい会社と、比較的抑えられている会社には明確な違いがあります。

この記事では、一般論として以下を整理します。

  • 勤務間インターバルを意識すると人件費が増えやすくなる構造
  • それでも人件費が増えにくい会社の共通点
  • 交代制シフトを見直す際の実務的な考え方
  • 勤務間インターバルと相性の悪い働き方の典型例

「ルール対応=コスト増」と短絡的に捉える前に、設計と運用の違いを整理する視点として活用してください。


勤務間インターバルを意識すると人件費が増えやすくなる理由


● 遅番と早番を連続で組めなくなる

人件費増につながりやすい最大の要因は、遅番と翌日の早番を同じ人に任せる運用が難しくなる点です。

たとえば、23時に退勤し、翌朝8時から出勤する場合、休息時間は9時間しか確保できません。
このような並びを避ける必要が出てくると、早番専任・中番・遅番といった役割分担をより明確にする必要が生じます。

結果として、これまで1人でカバーしていた時間帯を、複数人で分担する必要が生じ、人件費が増えやすくなります。

● 深夜帯勤務後の休息確保が求められる

深夜帯まで働いた後に十分な休息が取れていない働き方は、健康確保の観点からも見直し対象になりやすい運用です。

深夜勤務の翌日は、始業時刻を後ろにずらす、もしくはその日は勤務に入れないといった調整が必要になり、結果として稼働人数を増やさざるを得ない場面が出てきます。

● 従来の2交代制が成り立ちにくくなる

早番・遅番の2交代制でギリギリ回していた現場では、勤務間インターバルを意識すると時間帯の穴が生じやすくなります。

この穴を埋めるために中番を新設したり、短時間勤務を組み合わせたりする必要が生じ、シフトの行数が増えることで人件費が底上げされるケースがあります。

● 夜勤対応スタッフが不足しやすくなる

夜勤がある業種では、夜勤後の休息確保を前提にすると、夜勤専任の人員を増やす必要が出てきます。

夜勤明けに通常勤務を組み込むことが難しくなるため、夜勤帯の人員を厚めに配置せざるを得ず、結果として人件費が上がりやすくなります。


それでも人件費が増えにくい会社の共通点


● 前月中にシフトを確定させている

人件費が増えにくい会社ほど、翌月のシフトを前月中に確定させています。

事前に確定していれば、勤務間インターバルを満たさない並びを早い段階で修正でき、突発的な穴埋めや残業を減らすことができます。

● シフト設計を「作業」ではなく「設計」として扱っている

店長任せではなく、シフト設計を一つの業務として捉え、全体最適で考える担当者がいる会社は、人件費の膨張を抑えやすい傾向があります。

● 勤怠システムで事前にアラートが出る仕組みを使っている

勤務間インターバル不足や連続勤務が発生しそうな場合に、シフト作成段階で気づける仕組みがあると、後からの修正や余計なコストを防げます。

● 例外運用を極力作らない

「この人だけ特別」「この時期だけ仕方ない」といった例外が多いほど、結果的に人件費は膨らみやすくなります。
ルールベースで運用している会社ほど、コストは安定します。


勤務間インターバルを前提にしたシフト最適化の考え方


● 遅番・クローズ担当を厚めに育てる

遅番を特定の人に集中させず、対応できる人材を増やすことで、翌日の早番に無理な組み合わせをしなくて済みます。

● 短時間勤務をうまく組み合わせる

早朝や夕方だけ入れる短時間勤務を組み込むことで、フルタイムだけで無理に回すよりも全体コストを抑えやすくなります。

● 勤務時間帯を固定する

早番・遅番・夜勤を固定化することで、勤務間インターバル違反が起きにくくなり、離職防止にもつながります。


勤務間インターバルと相性の悪い働き方


● 閉店作業と翌朝準備を同じ人に任せる

最も見直し優先度が高い運用です。
この並びは、今後は成立しにくい前提で再設計が必要になります。

● 長距離移動を伴う連続勤務

物流などで見られる長距離移動後の短時間休息は、安全配慮の観点からもリスクが高まります。

● 夜勤明けの早朝応援

夜勤明けに短時間だけ勤務を入れる運用も、休息確保の趣旨と相性が悪く、見直し対象になりやすい働き方です。


まとめ

勤務間インターバルを意識すると、人件費が増えやすくなるのは事実です。
しかし、その増加は「ルールそのもの」ではなく、「従来のシフト設計を前提にしたまま対応しようとすること」で起こるケースがほとんどです。

前月確定のシフト、役割分担の明確化、勤怠アラートの活用などを進めることで、勤務間インターバルを確保しながらも、人件費の増加を最小限に抑えることは十分に可能です。

勤務間インターバルは、単なる負担ではなく、離職防止・安全確保・現場安定につながる設計見直しのきっかけでもあります。
今のうちに「人で埋める発想」から「設計で整える発想」へ切り替えておくことが、2026年以降の安定運営につながります。


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※本記事は公開時点の情報にもとづいて作成しています。今後の制度変更や運用の見直しにより、内容が変わる可能性があります。

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