勤務間インターバル制度 × シフト制の組み方|2026年の新基準で現場はどう変わる?
〜「誰を何時に入れるか」ではなく「誰をどこで休ませるか」を設計する時代へ〜
シフト制の現場では、これまで「必要な時間帯に、必要な人数を配置する」ことが最優先でした。
ところが、勤務間インターバル(終業〜次の始業までの休息時間)や14日連続勤務禁止の流れが強まる2026年前後のルールでは、
「いつ働かせるか」だけでなく
「いつ・どのくらい休ませるか」
をシフト設計の中心に据えなければ、法令も健康も両立できなくなっていきます。
特に、
- 朝番・遅番を組み合わせる店舗
- 閉店作業が長引きがちな飲食・小売
- 24時間営業・ロング営業時間
- 副業・兼業者を抱える企業
では、従来の“ぎりぎりまで人を詰め込む”シフト運用を続けると、インターバル違反・連勤超過・過重労働リスクが一気に高まります。
本記事では、次のテーマを現場目線で整理します。
- シフト制企業がインターバルで直面する「3つの壁」
- 違反になりやすい典型パターン
- 2026年対応として設定すべきシフト基準
- 良いシフト/悪いシフトのモデル
- 勤怠システムとシフト表をつなぐポイント
結論として、2026年以降は「埋まっているシフト」より「回復できるシフト」が組織を強くします。
シフト制企業が直面するインターバルの壁
朝番と夜番の組み合わせ
シフト制ならではの第一の壁が、「朝番」と「夜番」の組み合わせです。
典型的な例:
- 早番:7:00〜16:00
- 遅番:14:00〜23:00
この2パターンをローテーションしているだけならまだ良いのですが、
- 繁忙期に遅番→翌日早番
- 閉店作業が長引いて24:00退勤
- 翌朝7:00の早番
といったケースになると、終業〜始業の間隔が7時間前後となり、インターバル基準(例:11時間)から大きく外れます。
“全員で持ち回り”という発想だけでは、健康・法令面でアウトになる時代に入っていると言えます。
ショートシフトの崩壊
人件費を抑えるため、
- 10:00〜14:00(ランチのみ)
- 17:00〜22:00(ディナーのみ)
といったショートシフトを組み合わせる店舗も多くあります。
ただし、
- 午前ショート+午後ショートの“ダブル”
- 翌日も同じパターン
- その合間に副業・別店舗勤務
となると、形式上はインターバルを守っていても、実態として休息が取れていない状態が発生しやすくなります。
2026年以降は、「ショートシフト=安全」ではなく、「ショートの組み合わせ方によっては、むしろ危険」という発想が必要になります。
閉店作業と早番問題
飲食・小売・サービスの現場では、閉店後にも必ず作業が発生します。
- レジ締め
- 清掃
- 翌日の仕込み
- 発注作業
営業時間が21:00まででも、実態としては「22:00退勤」が常態化しているケースも珍しくありません。
その人が翌朝の開店準備(7:00〜・8:00〜)にも入り、さらに繁忙期でそれが連日続くと、「閉店作業メインの人ほど、インターバルが崩壊する」という矛盾が生まれます。
“仕事ができて頼りになる人”ほど危険なシフトを引き受けてしまう構造を、どう断ち切るかがシフト設計上の大きな課題です。
インターバル違反になりやすいパターン
連続勤務との相乗効果
インターバルと相性が悪いのが、連勤です。
1〜2日のインターバル不足でも、
- 10〜12連勤の中で続く
となれば、疲労は数字以上に蓄積します。
特に、月末〜月初や大型連休の繁忙期では、
- 連日シフトに入ってもらう
- 深夜・早朝枠に偏る
という状況になりがちで、インターバル違反と連勤超過の複合リスクが発生します。
副業・兼業者のケース
本業側ではインターバルを守っていても、副業先を含めると実質“睡眠時間がほとんどない”ケースが増えています。
例:
- 本業:9:00〜18:00
- 副業:19:00〜23:00
- 帰宅後、翌朝7:00出勤
本業だけ見ればセーフでも、「人として回復できているか」という観点では完全にアウトです。
インターバルを本気で運用するなら、
- 副業先の勤務時間の申告
- 総労働時間・総連勤の把握
- 危険な働き方への是正指導
までを視野に入れた運用が求められます。
24時間店舗の運用
コンビニ・一部ドラッグストア・物流拠点など24時間稼働の事業場では、
- 深夜帯の固定シフト
- 早朝〜午前のシフト
- 日中・夕方のピーク枠
が組み合わさるため、インターバルとシフトの両立が最も難しい業態です。
欠員が出るたびに「とりあえず埋める」運用を続けていると、
- 深夜→日中
- 日中→深夜
という危険なシフトチェンジが頻発し、インターバル違反と過重労働が常態化します。
2026年対応で必要なシフト基準
最低休息11時間の確保
軸となるのは、「終業〜次の始業まで、原則11時間以上空ける」というシンプルなルールです。
シフト表上で終業時刻と翌日の始業時刻を一覧できるフォーマットに変更し、
11時間未満になる組み合わせは、そもそも登録できない・警告が出る
という運用を目指します。
深夜後の翌日出勤制限
深夜帯(22:00〜5:00)を含むシフトについては、次のような基準が有効です。
- 深夜勤務の翌日は原則休み
- やむを得ず出勤させる場合は「遅番のみ」
- 深夜→早番の連続パターンは禁止
「若いから大丈夫」という発想は、2026年以降ますます通用しなくなります。
休日シフトの調整
インターバルを守るには、日ごとのシフトだけではなく、休日の配置も重要です。
- 月後半に休日を固めすぎない
- 深夜勤務の前後に休日を挟む
- 週単位で最低1日は完全休日を入れる
- 固定休とローテーション休を組み合わせる
休日を「余りもの」ではなく、シフト設計の主役として考える発想が必要です。
良いシフト例・悪いシフト例(モデル付き)
○ OK例
【モデルA:飲食店の2交代制】
- 早番:8:00〜17:00
- 遅番:14:00〜23:00
遅番勤務の翌日は原則「早番禁止」。遅番→翌休→その次の日に早番可とします。
深夜作業が想定される日は、翌日を必ず「休み」か「遅番」に設定します。
このように、「組み合わせのルール」と「翌日の制限」をセットで決めることで、インターバルを守りやすくなります。
× NG例
【モデルB:よくある危険シフト】
- 月〜金:14:00〜23:30(閉店作業込み)
- 土:7:00〜16:00(朝番)
- 日:休み
ぱっと見は「週1日休み」ですが、
金曜23:30退勤→土曜7:00出勤
となり、休息時間は7時間未満です。これが繁忙期の数週間続けば、インターバル・健康リスクともに完全にアウトです。
改善案の出し方
NGシフトを改善する際は、次の順番で考えます。
- 終業と始業の時間差を確認する
- 11時間未満の日をリストアップする
- そのうち連勤の中にある日を最優先で修正する
- 深夜・早朝が重なっている人を外す・入れ替える
- 人員増加や営業時間・サービスの見直しも選択肢に含める
「今のシフトを前提にどう回すか」だけではなく、
「この営業時間とサービス内容を、いまの人数で本当に維持できるのか」
というレベルまで一度立ち止まって見直すことが重要です。
勤怠システム×シフト連携のポイント
インターバルを守るシフトを実現するには、紙のシフト表や店長の勘だけでは限界があります。
必要となるのが、次のような勤怠システムとの連携です。
- シフト作成画面上でインターバル違反を可視化する
- 11時間未満の組み合わせに警告を表示する
- 連勤カウントとインターバルの両方を自動チェックする
- 打刻実績とシフトの差を定期的にモニタリングする
理想は、
- シフト作成時点で“違反になりそうな案”は登録できない
- 当日変更で崩れた場合はアラートが人事・責任者に飛ぶ
という二重・三重の仕組みです。
店長の頑張りに頼るのではなく、「システムが危険なシフトを教えてくれる状態」を目指すことが、2026年対応のゴールです。
まとめ
インターバル制度とシフト制のテーマは、「人をどう入れるか」から「人をどう回復させるか」への発想転換を迫るものです。
- 朝番×夜番・ショートシフト・閉店作業はインターバル上の危険ゾーンになりやすい
- 連勤・副業・24時間店舗では、インターバル違反と過重労働がセットで発生しやすい
- 2026年に向け、「最低11時間」「深夜勤務翌日の制限」「休日配置」の3基準が必須となる
- 良いシフトは休息を起点に設計され、悪いシフトは“埋めること”だけを優先している
- 勤怠システムと連携し、「危険なシフトはそもそも組めない」状態をつくることが最終形
インターバル対応は、単なるコンプライアンス対応ではありません。
- 離職率の低下
- 採用力の向上
- 生産性の安定
- 労災・紛争リスクの軽減
といった、企業の根幹に関わるテーマと直結します。
2026年を“締切”と捉えるのではなく、「この機会に、現場の働かせ方を一段アップデートする」というスタンスで、シフトと勤怠の見直しを進めていくことをおすすめします。
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